倉敷工 新装甲子園でいきなり歴史つくった

[ 2009年3月22日 06:00 ]

<倉敷工・金光大阪>延長12回裏、日下のサヨナラ打で喜ぶ倉敷工ベンチ

 リニューアル工事を終えた新装甲子園が初日から接戦の連続で盛り上がった。第81回選抜高校野球大会第1日は21日、開会式に引き続き1回戦3試合が行われ、第1試合はリードを4度追いつく粘りを見せた倉敷工が延長12回、日下太希内野手(3年)の右前打で金光大阪に11―10でサヨナラ勝ち。34年ぶりのセンバツ勝利を挙げた。今治西もサヨナラ勝ち、中京大中京とともに初戦を突破した。22日は1回戦3試合が行われる。

【日程と結果


 【倉敷工11-10金光大阪】まさにミラクル。驚異の粘り腰で“新装甲子園”1勝をもぎ取った倉敷工・中山監督は興奮を抑えきれなかった。

 「信じられません。びっくりした。歴史に残る試合をやってしまった。ほんまミラクルですよ」

 決してあきらめなかった。いくら打たれても打ち返した。何度リードを許しても食らいついた。4回に三村が同点3ラン。1点を追う8回は井上が同点二塁打だ。9回に3点勝ち越されたが、1死から3本の長短打で同点。成功したかに見えたサヨナラスクイズが微妙な判定でアウトとなり、延長12回には勝ち越された。だが土壇場で敵失、バント安打などで1死満塁として三木が同点右前打。続く日下も右前に運んで両軍合計38安打の乱打戦に終止符を打った。「この甲子園でスターになる気持ちしかなかった。結果を考えず、来た球を思いっ切り振った」。サヨナラ打のヒーローはナインの手荒い祝福にも満面に笑みを浮かべた。

 34年ぶりの出場で34年ぶりの1勝。前回も開幕戦で中京(現中京大中京)を相手に16―15という打撃戦を制した。過去の甲子園で61年夏、報徳学園相手に延長戦で6点勝ち越しながら逆転負けを喫した。03年夏は駒大苫小牧相手に、敗色濃厚の試合が降雨ノーゲームとなり翌日再試合で劇勝した。今なお語り継がれるドラマを生んできた伝統校がまたやってくれた。

 「負けても楽しいと思える試合だった」と日下が激闘を振り返った。飛び抜けた選手はいないが、こんな“無欲さ”を持つチームが勝利の女神は大好きだ。球春到来を告げるにふさわしい劇的な勝利。倉敷工が春の主役に躍り出る。

 <金光大阪 3度目の甲子園も初勝利ならず>4度のリードを守れずサヨナラ負け。2人の左投手が要所を抑え切れず倉敷工に18安打を許した。横井監督は「ピッチャーが踏ん張ってくれると思っていたが、もう少し早く継投をしても良かった」と自らの采配を悔いた。春夏通じて3度目の甲子園で初勝利はならず「まだまだ甘いということ。ここでは簡単に勝たせてくれない」と指揮官は全国舞台の厳しさを痛感していた。

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2009年3月22日のニュース