福留が着火!カブス8点逆転劇

[ 2008年6月1日 06:00 ]

<カブス・ロッキーズ>6回無死二塁 左越えの3号ツーランを放つ福留

 【カブス10―9ロッキーズ】頼れる男が“リグレーの奇跡”を演出した。カブスの福留孝介外野手(31)が30日(日本時間31日)のロッキーズ戦で1―9の6回に反撃のきっかけとなる18試合ぶりの3号2ランを放った。これで火がついた打線は6、7回に計9得点を奪って試合をひっくり返した。99年6月22日の同カード以来9年ぶりとなる8点ビハインドからの大逆転勝利で、チームは今季3度目の5連勝を達成した。

 一振りで流れを変えた。1―9で迎えた6回無死二塁、福留が外角に沈んだクックの92マイル(約148キロ)ツーシームをうまくすくい上げて左中間へ運ぶ3号2ラン。「こんな試合だからこそ、1打席をいつもより大切にしないと」。自らに言い聞かせてから打席に立ち、本塁から中堅方向に吹いていた強風も味方につけた。6点差に縮める一発が“リグレーの奇跡”の始まりだった。
 それまで完敗ムードが球場を支配していた。先発リリーが序盤から乱れ3回で7失点。5回終了時点で8点のビハインドに、ピネラ監督は3番リー、4番ソトを早々とベンチに下げた。指揮官でさえあきらめかけていた中で飛び出した逆襲弾。福留は「風で運ばれただけ。たまたま」と謙そんしたが“新人”の最後まであきらめない姿勢が打線に火を付けた。
 次打者のエドモンズが2号ソロで続くと、7回には1死から福留の好機を広げる左前打、デローサの逆転5号2ランなど6連打で6得点。9年ぶりの8点差逆転勝利にデローサ、そして3安打3打点と活躍したエドモンズも「福留の本塁打がきっかけになった」と興奮気味に話した。
 最近4試合で3度のマルチ安打。それでも福留は「(打撃の状態は)そんなにいいものではない」と言う。中日時代には気に入ったバットが4本ほどあり、毎日握った感触で当日使う1本を選んでいたが、今季は湿度などから重さやしなりが変わるため「気に入ったバットが1本も見つからない」。それが好不調の波が激しい一因となっている。2試合連続無安打に終わり、初めて開幕から打率3割を切った26日のドジャース戦の試合後にはロッカーで1人黙々とバットのグリップを紙やすりで削る姿があった。究極の1本を求め試行錯誤を繰り返していた。
 12日の試合前に「暖かくなり左翼方向に強い風が吹き始めれば、福留の左方向の打球がフェンスを越えていく」と話していたピネラ監督も“予言的中”にご機嫌だ。これでチームは5連勝。福留は「疲れました」と言いながらも「こういう勝ち方はチームに勢いが出る」と笑顔で締めくくった。

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2008年6月1日のニュース