全勝消えた!1敗8人 把瑠都初Vへチャンスだ

[ 2010年11月20日 06:00 ]

上手出し投げで朝赤龍を下した把瑠都

 【大相撲九州場所6日目】把瑠都が朝赤龍を上手出し投げで下して5勝1敗とした。8人が1敗で並ぶ大混戦となっているが、来年初場所での横綱昇進をにらむ“エストニアの怪人”は、今場所で念願の初優勝をどん欲に狙いにいく構えだ。連勝が63で止まった横綱・白鵬も、はたき込みで豊真将に完勝して1敗をキープ。ただ1人全勝だった翔天狼は時天空に敗れた。6日目に全勝がいなくなったのは00年夏場所以来。1敗は白鵬、把瑠都、魁皇、嘉風、旭天鵬、豊ノ島、時天空、翔天狼。

 8人が1敗で並ぶ大混戦の中で、把瑠都の気迫がひときわ光った。朝赤龍を“らしくない”慎重な取り口で退けて1敗をキープ。立ち合いで右上手を取ると、じっと勝機を探した。前に圧力をかけながらタイミング良く上手出し投げ。「立ち合いに迷いがあるね。慎重になってきたよ。自分もこけたっスからね」。投げを打った反動で自らも尻もちをついたのはご愛きょうだ。
 2日目の阿覧戦では絶対不利な体勢から大技“はりま投げ”で勝利。前日、豊真将に敗れて悔しさのあまり支度部屋の掲示板を右ストレートで破壊したのも今場所に懸ける強い気持ちゆえ。場所前には「横綱に離されずついていきたい」と話すなど、大関昇進以来10勝が最高と波に乗り切れていなかった怪力大関に勝利への執念が戻ってきた。
 野球賭博問題に揺れた7月の名古屋場所の際には「テレビも中継されないし巡業みたい」とつぶやくなどモチベーションが下がった時期もあった。そんな気持ちが変化した理由の一つに、昨年2月に結婚したエレナ夫人との“結婚式”を来年に行うことが場所前に決定したことがある。師匠の尾上親方(元小結・浜ノ嶋)は「昇進や部屋開きなどで今年は忙しく挙式はできなかったが、落ち着いてきたので来年にします」と話した。エストニアにいる母・ティーナさんらを呼び寄せて来年の夏場所後にも都内ホテルで行う予定。それだけに今場所、来年初場所と2場所連続優勝を果たして横綱に昇進し、白鵬最強時代に待ったをかけておきたい思いは強い。
 白鵬の連勝がストップしたことで今場所の焦点は賜杯争いに絞られたが「優勝争い?まだ何にも言わないよ。まだめちゃめちゃ先は長いからね」。コメントまで慎重さを貫いたことが把瑠都の本気度を物語っていた。

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2010年11月20日のニュース