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【コラム】海外通信員

米国代表メンバー23人決定 ドノバン・ショックを乗り越えられるか

[ 2014年5月31日 05:30 ]

米国代表落選後に取材を受けるドノバン(AP)
Photo By AP

 来月のW杯ブラジル大会に向けて、アメリカサッカー協会は日本と同じ12日に代表メンバーを発表した。

 ただ日本と違ったのはまず23人の本登録メンバー、次に7人の予備登録の発表という形ではなく、30人の予備登録という形をとったことだ。14日からカリフォルニア州スタンフォード大学で行われた合宿で、選手たちを競わせ、チームの力を高めようとしたのである。

 そして22日、23人の本登録選手が発表されたのだが、そこには大きなサプライズが待っていた。キャップ数154を誇り、長くアメリカ代表の顔となってきたロサンゼルス・ギャラクシーのFWランドン・ドノバンが入らなかったのである。

 大ベテランという印象のあるドノバンだが、まだ31歳。攻撃の中心、さらにチームのリーダーとしてその座は不動のものであろうと考える人がほとんどだっただけに落選の衝撃は大きい。ただ今シーズン、ドノバンはギャラクシーでのプレーに精彩を欠いており、代表に入ったとしても本選ではベンチに下げられる可能性が高かったのも事実だ。

 その一方で、サウンダースのDFデアンドレ・イェドリンやバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)のMFジュリアン・グリーン、同じくヘルタ(ドイツ)のDFジョン・ブルックスなどW杯予選に出場していない選手が5人もいる。34歳のGKニック・リマンド(レアル・ソルトレイク)のようなベテランの呼び戻しは、まさにチームの統率力を考えての選考といえるだろう。ただグリーンはまだ18歳で、ブンデスリーガでプレーしているとはいえトップレベルでの経験は薄い。それでも23試合の出場で15ゴールを挙げている勢いが買われた。

 またドノバンが落選したことにより、3大会連続での選出となったのは、メキシコ・プエブラでプレーするDFダマルカス・ベアズリーただ1人となった。

 こうしたことを見るとユルゲン・クリンスマン監督によるメンバーがいかにアグレッシブなものであるかわかるだろう。ロスター発表で、クリンスマンは「私が選んだ23人のメンバーは、どこかの分野でランドンよりも高いレベルにあった。つまり、私のプランにランドンは入っていなかった」とドノバンを落とした理由を語ったということだ。それでもメディアやファンの間には動揺が残っている。

 アメリカ代表は27日からサンフランシスコやニュージャージー、フロリダでアゼルバイジャン、トルコ、ナイジェリアと壮行試合を行う予定だ。

 果たしてチームはこの“ドノバン・ショック”を乗り越え、より高いレベルで6月16日の初戦、ガーナ戦に臨めることができるだろうか。(渡辺史敏=ニューヨーク通信員)

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