「鎌倉殿の13人」義経“攻めの八艘飛び”にネット沸く「見事」壇ノ浦の戦い圧巻7分 大河最大級VFX

[ 2022年5月8日 20:45 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第18話。壇ノ浦の戦い、伝説の「八艘飛び」。舟から舟へ飛び移る源義経(菅田将暉)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は8日、第18話が放送され、源平合戦の最終決戦「壇ノ浦の戦い」(1185年、元暦2年)が描かれた。天才軍略家・源義経(菅田将暉)は舟から舟へ飛び移る伝説の「八艘飛び」、禁じ手の「漕ぎ手撃ち」と躍動。前半のクライマックスを迎えるとあり、番組の最後に流れる「紀行」の2分を本編に組み込む異例の措置。大海戦を描くVFX(Visual Effects=視覚効果)も大河最大級の規模となった。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第18話は「壇ノ浦で舞った男」。苛烈さを増す源平合戦。必死に抵抗する平宗盛(小泉孝太郎)率いる平家軍に対し、源頼朝(大泉洋)は義経(菅田)を四国、範頼(迫田孝也)を九州に送り、逃げ道をふさぎにかかる。しかし、範頼軍は周防で足止めを食らい、北条義時(小栗)三浦義村(山本耕史)らが状況の打開に奔走。一方の義経軍も、後白河法皇(西田敏行)の命により摂津から動けずにいた。そんな中、梶原景時(中村獅童)の献策を一蹴した義経が…という展開。

 摂津の宿所。景時は「舟というものは、馬と違って急に向きを変えることができぬ」と櫓を舟の舳先にも付けることを提案。義経は「馬鹿じゃないか!逃げるための道具など、なぜ考える」と一蹴し、嵐の夜の出陣を決断した。

 「義経は五艘の舟で海を渡り(屋島の)平家軍に奇襲をかける。不意を突かれた平家は屋島を捨て、長門の彦島に落ち延びていく」(語り・長澤まさみ)

 3月24日朝。大海戦が始まる。義経は敵に囲まれた。

 畠山重忠(中川大志)「いったん引きましょう」

 義経「引いてはならぬ!敵は十分引きつけろた!ためらうことはない。漕ぎ手を射殺せ!」

 重忠「漕ぎ手は兵ではござらぬ。殺してはなりませぬ」

 義経「構わぬ」

 重忠「末代までの笑い者になりまする」

 義経「笑わせておけ。矢を放て!(自ら禁じ手を実行)矢を放て!放たねば、命はない!(と味方に矢を向ける)矢を打て!」

 畠山重忠「南無三(矢を放つ)」

 義経「放て!」

 形勢は逆転。義経は舟から舟へ軽快に飛び移り、敵を斬り倒していく。宗盛は「もはや、これまで」と観念。宗盛の母・二位尼(大谷恭子)は宝剣とともに、安徳天皇(相澤智咲)は女官に抱かれて入水した。義経は「嘘だろ。やめろー!」と絶叫。門司の岸壁から戦況を見届けた義時たちはやり切れぬ表情を浮かべた。

 大海戦は怒涛の約6分40秒。SNS上には「八艘飛びは何度見ても見事。揺れる船をよく飛び移った。菅田将暉、凄い」「ニチアサ以来じゃないか、菅田さんの特撮」「八艘飛びも逃げるんじゃなく、攻める方なんだなぁ」「逃げるための八艘飛びじゃなく、バーサーカーモードの八艘飛び」「本作の八艘飛びは義経の野蛮さも交えつつ、合理的な方法として描かれて魅力的だった」「壇ノ浦、映像の迫力が凄かった。その映像の美しさを上回って華やかに暴れまくる菅田将暉くんがまさに伝説的美しさで、ホント、キャスティングしてくださった方に感謝」「壇の浦の戦いの映像、音楽すべてが圧巻で、これは凄い回だ…と思ったのも束の間、最後のシーンであの時の伏線回収をするのはズルいだろう」などの声が続出。反響を呼んだ。

 第18話は紀行なし。紀行の2分を本編に回し、放送時間は通常の43分から丸々45分に拡大。制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサー(CP)は「源平合戦のクライマックスをたっぷりお楽しみいただくため」と狙いを語った。

 ただ紀行もファンが多いため、取りやめることはなく“予習”として5月2、4、6、8日と4回にわたって異例の先行オンエア。安徳天皇を祀る赤間神宮(山口県下関市)などを紹介した。

 昨年のうちに静岡・伊豆ロケも行ったが、大海戦を描くにあたり、CGも使用。VFXチームが総力を結集し、オンエア直前まで作業。清水CPは「例年と比べても、相当な規模のVFXのシークエンスになっています。八艘飛びはやっぱり壇ノ浦の戦いを描く上で不可欠な重要なピース」と映像の迫力に手応えを示した。

 菅田については「こちらの心をわしづかみにする『オレを見ろ』というようなお芝居を見事にされる方」と絶賛し「三谷さんの描く義経と菅田さんが本当に素晴らしい出会い方をしたと思います。それは幸運なこと」と感謝。第8話(2月27日)、至近距離から野武士に矢を放つ残忍さと富士の山に寄り道する無邪気さが同居した義経の初登場に「やっぱり三谷さんは凄いことを考えますよね。自分の欲求や衝動に一直線に突き進む推進力を持っているのは、また新しい義経像なんじゃないかなと思います」と驚いた。

 第16話(4月24日)に「(義経は)引き絞られた矢が放たれたかのようじゃ」(土肥実平:阿南健治)の台詞があったが「まさにその通り。(壇ノ浦の戦いは)義経がためにためてきたエネルギーが一気に放出されますが、ここまで矢を引き絞ってきた三谷脚本の妙ですよね」。同時に、勝利してなお「義仲も死に、平家も滅んだ。この先、私は誰と戦えばよいのか。私は戦場(いくさば)でしか、役に立たぬ」と虚しさを感じ、居場所を失った義経を描いた。「源平合戦という歴史ロマンに心を揺さぶられたり、やっぱり義経は英雄なんだとしみじみ分かったり、試写で何度も嗚咽しました」という力作に仕上がった。

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