藤井王位 デビュー以来最長2時間1分、実質3時間の大長考 豊島竜王との第5局始まる

[ 2021年8月24日 18:54 ]

 「お~いお茶杯第62期王位戦第5局で初手を指す藤井聡太王位(手前左)。同右は豊島将之竜王=24日午前9時1分、徳島市沖浜東の渭水苑(代表撮影)
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 藤井聡太王位(19)=棋聖と2冠=が豊島将之竜王(31)=叡王と2冠=の挑戦を受ける王位戦7番勝負第5局は24日、徳島市の料亭「渭水苑」で1日目が始まり、藤井の先手で相掛かりになった。午後6時、46手目を豊島が封じて1日目が終了した。3勝1敗で防衛へ王手をかける藤井は41手目にデビュー以来最長2時間1分の大長考。昼食休憩を挟んで実質3時間考え、妥協のない対局姿勢を示した。

 リミッターを外した姿があった。藤井が初手から1時間半後の午前10時半ごろ、考慮に沈んだ。豊島の指し手は中盤における極めて自然な金上がり。王の前面を守護する狙いだが、AI超えの指し手で同じプロをも驚かせてきた頭脳は何かを感知した。

 それは好機のサインか、はたまた危険か。考慮は12時半からの昼食休憩にも突入。その時点で、2時間に達した。

 タイトル戦での地方対局では当地の名物を注文する傾向にある藤井は、四国だからか天ぷらうどんを注文。1時間の休憩明けすぐ、トータル3時間考えて選択したのは、敵陣へ歩を伸ばす検討陣の本命だった。6月、稲葉陽八段(33)との名人戦B級1組順位戦での1時間52分を超えた。

 「長い持ち時間になるので一手一手しっかり考えたい」。叡王戦第4局での敗戦から一夜明け、名古屋から徳島入りした藤井は前日会見で意気込みをそう語っていた。

 1日制で持ち時間4時間の叡王戦に対し、2日制8時間。持ち時間が2倍になることでより先々の局面まで検討できる。3勝1敗と先に王手をかけた優位さもある。詰将棋解答選手権5連覇が示す終盤力への自信もあればこそ序中盤に時間を割ける。1年前の王位戦第1局で当時の自己最長1時間36分考えた藤井が2年連続、棋理と向き合った。

 対して豊島も封じ手直前、1時間53分の長考で返す。1日目は藤井が3時間33分、豊島は3時間56分で封じ手となった。きょう25日の2日目、藤井が勝てば棋聖に続く連続防衛、負ければ叡王戦第4局に続く連敗となる。

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