山口香氏 酷暑五輪対策で夏冬競技入れ替え提案「マラソンを冬に持ってくることもできるかも」

[ 2021年8月9日 22:30 ]

山口香氏
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 日本オリンピック委員会(JOC)元理事で、元柔道世界女王の山口香氏(56)が9日、BS-TBS「報道1930」(月~金曜後7・30)に生出演し、夏季、冬季五輪の実施種目の抜本的な改革を提案した。

 酷暑の中で行われた東京五輪では、男子テニスでダニル・メドベージェフ(ロシア・オリンピック委員会)が「死んだら国際テニス連盟は責任を取れるのか」と訴え、試合時間が変更。女子マラソンは開催前夜に1時間前倒しでの開始が発表されるなど、暑さへの対処によるドタバタが相次いだ。

 テニスのように、選手発信で変更が行われたことについて、山口氏は「選手の意見はIOC(国際オリンピック委員会)も無視できないところはある」と解説。「IOCが参加してほしい選手たちが、これから出てくれない事態が当然、想定される。そうすると商品価値がなくなっていく」と、五輪の価値低下を懸念した。

 24年大会が行われるパリも、夏には40度を超える暑さを記録する日もある。地球温暖化が進む中、北半球で今後、五輪の開催が困難になるとの声も聞かれ始めている。そんな中、山口氏は「種目をたとえばマラソンを冬に持ってくるということだって、できるかもしれないですよね。(雪と氷)だけじゃなくて、根本的な議論をもうしていかないと」と主張した。

 さらに山口氏は、夏冬の実施競技数のバランス化も提案した。夏季大会は「船としてはいっぱい」としながらも、「冬季大会はまだまだ少ない」と指摘。「たとえば室内競技なんかは、冬に持って行ってもいいものがあるんですよ」と、例を挙げて説明した。

 夏冬の競技の入れ替えはかつて議論になったことがあったものの、立ち消えになったという経緯がある。それでも、山口氏は議論の復活を希望。「この酷暑と、選手のコンディショニング、それこそ安心・安全ということを考えたら、そこももう一度、アスリートの側も入って(議論すべき)。IOCの中にもアスリート委員会というのがありますからね。真剣に議論してほしいと思います」と訴えた。

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2021年8月9日のニュース