阪神・伊藤将 慌てず修正で1勝つかんだ 気づいた“命綱”のズレ 動画研究の成果が出た

[ 2024年4月4日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神5-2DeNA ( 2024年4月3日    京セラD )

<神・D>先発した伊藤将(撮影・須田 麻祐子)
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 今の阪神・伊藤将はそう簡単には崩れない。2回までに2失点しても慌てずに修正。上ずるボールを意識の変化で低めに集めてみせた。

 「思っていたより高めにいってたので、ワンバン(ワンバウンド)するぐらい投げて」

 3回以降は低めに制球したボールで2併殺を奪うなどゴロを量産し7回まで72球の完投ペースで投げ切った。注目された横浜高の6歳後輩・度会も3打数無安打と圧倒し試合前の時点で防御率1・80、通算14登板で10度クオリティー・スタート(QS=投球6回以上、自責点3以下)を記録している得意のDeNAから白星を奪取。今季チームの先発陣では初勝利となった。

 “命綱”のズレに気づいたのは3月中旬だった。2月から悩んでいた直球の球威不足の原因を探るために頼ったのは「過去の自分」。球団アナリストの力も借り、昨年までの投球フォームと現在を見比べた。甲子園では安藤投手コーチと映像に目をこらし、自宅や移動の際はタブレット端末にダウンロードした動画を繰り返し見た。

 「今まであんまりフォームとか意識したことがなかったんで」と言う本人が気づいたのは投げ出す際に高く上げる右手のズレ。好調時より微妙に早く上がっており、連動する左腕がトップまで上がりきらないうちにボールをリリースしていた。

 「それまで右手を上げるのが早いって感覚はなかった。動作が速いので(左腕が上がりきらない状態で)ボールを前で離せなくなっていたんです。本当に“コンマ”のズレなんですけど、映像で見ると全然違った」

 「右手と左手の連動がバロメーター」と語るほど伊藤将司という投手にとって大事なメカニックの微妙なズレに気づいたことが、この日の好投を呼んだ。

 「高めに浮いたりもったいない球があったんで、次の登板から初回を大事にしたい」

 快投発進にも気を緩めず、4年目の27歳左腕はさらなる高みを見据えた。 (遠藤 礼)

 《好リードで支えた》阪神・梅野が好リードで投手をけん引し、先発マスクを被った試合では2連勝。「(先発の伊藤将は)2点までに抑えられたのが収穫。味方の援護を待つことができた。よく粘ってくれた」。初回、2回と立て続けに失点を許したものの、以降は直球主体の配球からチェンジアップ主体の投球にシフトチェンジさせたことで7回2失点。8回から登板したゲラ、岩崎も無失点リレーに導き「勝てたことはホッとしている」と充実感をにじませた。

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