日本ハム史上初の女性通訳・佐久間しんじゅさん OP戦で初マウンド通訳「自分は“口”でしかない」が信条

[ 2024年4月4日 08:00 ]

3月のオープン戦でマウンドに行った通訳の佐久間しんじゅさん(右)と建山投手コーチ(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハムの選手を支える“新戦力”が奮闘している。今季から英語通訳として新規採用された佐久間しんじゅさん(23)だ。日本球界でも異例で、球団では史上初となる女性通訳だ。

 外国人選手の普段の練習や取材を受ける際のサポートがメインだが、開幕前にはまた違った出番が訪れた。3月13日のエスコンフィールドで行われた広島とのオープン戦。7回2死満塁のピンチを迎えた新外国人右腕・マーフィーのもとに、建山投手コーチとともにマウンドに向かった。

 試合中のグラウンドでの通訳は自身にとってはもちろん、球団としても初めてのことだったが「今までの練習を見ているから応援する気持ちだったし、緊張感を持って行きました。でも、建山(投手)コーチも事前にこういうことを伝えてほしいと言ってくださっていたので自分も心の準備ができていました」と振り返る。直前までマーフィーは2者連続押し出し四球を与えるなどしていたが、その後はきっちり抑えた。

 通訳として大切にしているスタンスは「自分は“口”でしかない」ということ。選手の気持ちをくんで伝え方を選びながらも、できる限り発言を忠実に訳すことを心掛けている。マウンドでの通訳も言葉選びを慎重に考えていたといい「適切に一語ずつ訳して、かつ言い回しも考えながらやり切るのが一人前。いち早くそうなれるように頑張りたいです」と理想を追い求める。

 成田国際(千葉)、立大と進学。立大3年時にカナダのバンクーバーに留学し、本格的に英語を身に付けた。ただ、野球経験はなく「まだまだ知らなかった言い方や、事前に勉強していた言い方はしないんだな、と思うことがある」と言う。2月の春季キャンプ中には、練習後の宿舎で同僚の通訳と他球団の選手が話している動画を見ながら“補習”に励むなど学びの日々だ。

 グラウンド外でも外国人選手の家族の生活のサポートもこなす多忙ぶりだが「貴重な経験をさせていただいている。ファイターズの方々が自分のことを理解した上で接してくださっている配慮を凄く感じる。恩返しができるようになりたいです」。そう語る佐久間さんの表情は、充実感に満ちていた。
(記者コラム・田中 健人)

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