阪神OB会長・川藤氏も殿堂入り祝福 バース氏は「将棋」「マージャン」「お酒」の3冠王や

[ 2023年1月14日 07:00 ]

1986年10月14日、引退試合を終えた川藤幸三(左)の肩を抱いて場内一周するランディ・バース
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 球史に名を残した大活躍で85年には球団初の日本一へとけん引したバース氏の殿堂入り。吉報を受け、当時のチームメートであり、現役引退後も交流のある阪神OB会長・川藤幸三氏(73)が本紙に愛情いっぱいの祝福メッセージを送った。伝説の助っ人の隠された秘話など思いを語った。

 ランディの功績をみれば当然のこっちゃ。高い打撃技術はもちろん、日本球界で成功した最大の要因は日本の文化に溶け込み、日本のプロ野球に敬意を表していたことだと、当時のチームメートはみんな思っとるよ。

 日本独特の先輩後輩の関係を理解し、その縦社会の中に自ら飛び込んできた。ワシが若い選手を飯に連れていくと、「なんでオレは呼ばれないんだ」って怒ってね。飯に誘うと、いつも通訳は連れずに喜んで一人だけできた。行く店は居酒屋や、お好み焼き屋やで。そこでカケ(掛布)やオカ(岡田)ともカタコトの日本語で話していたよ。会話の内容は野球の話かって?ちゃうちゃう、バカな話ばっかりや(笑い)。でも楽しい酒やったから、それで良かったと思うとるよ。

 ある時はな。「何でいつもユー(You)が払うんだ」と言ってきたことがあったわ。そりゃ給料はランディの方がもらっとるけどもやな。「イン ジャパンや!」と説明しても、「ネクスト、ミー(Me)だ」と言ってな。これだけはオレの言うことを聞いてくれんかったな。それからは店の勘定は交互に支払うようになった。

 有名な将棋の話もそう。ロッカールームで指していたら、教えろと。正直言うと一番弱かったよ。でも将棋に興味を持つ外国人選手なんて見たことないわ。そんなヤツやから、みんなも助っ人だと思ってないねん。普通にいるチームの一人やったし、サムライやったな。おまえが獲ったのは「“将棋”と“マージャン”と“お酒”の3冠王や」って言ったら笑ってたよ。

 退団するときはいろいろあったけどな。ランディは絶対にタイガースが好きやったんや。91年オフにイベントがあってな。翌日に帰国するというから「じゃあ今晩のOB会に出ろよ」と言うたら、「阪神の方がオレをNGだろう」とちゅうちょしとったのを強引に連れていったら、ランディも懐かしい顔と再会できてうれしそうに「来てよかった」って…。お土産に将棋盤と駒をプレゼントしたんやけど、ちゃんとオクラホマまで持って帰ったんかいな?最後にこれだけは言える。当時のチームメートはみんな喜んどるよ。ランディ、おめでとう!(阪神タイガースOB会長)

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2023年1月14日のニュース