レッドソックスと電撃契約合意の吉田正 ボラス氏からのモーニングコールで吉報「夢だと思ったようだ」

[ 2022年12月9日 05:00 ]

レッドソックスと契約合意した吉田正(撮影・成瀬 徹)
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 オリックスからポスティングシステムで米移籍を目指していた吉田正尚外野手(29)が7日(日本時間8日)、レッドソックスと契約合意した。5年契約の総額9000万ドル(約123億3000万円)で、日本から移籍した野手ではカブスの鈴木誠也外野手(28)を上回る歴代最高額。オリックスへの譲渡金は1537万5000ドル(約21億円)になる。交渉解禁初日の異例のスピード決着となった。

 師走の寒風吹きすさぶ午前7時。吉田正のスマートフォンが鳴った。電話口の相手は海の向こうでウインターミーティングに参加中のスコット・ボラス代理人。モーニングコールで吉報を伝えた。

 「彼が目覚めた時、私が言っていることは夢だと思ったようだ。大喜びしていたよ」

 5年総額9000万ドル(約123億3000万円)の大型契約。単年あたりの平均年俸は1800万ドル(約24億6600万円)となり、今季年俸4億円からは6倍増以上だ。日本から移籍した選手では14年のヤンキース・田中(現楽天)に次ぎ歴代2番目で、野手では史上最高額。オリックスへの譲渡金は1537万5000ドル(約21億円)となった。

 45日間の交渉期間はこの日始まったばかり。“剛腕”で知られるボラス代理人はスピード決着の経緯を「通知されてから即座に多くのチームが興味を示した。需要は非常に高かった」と説明し、「日本へ行った時に最も驚いたのは新幹線。吉田の契約合意は新幹線のようで通常より2倍、3倍と早かった」と独特の表現で喜んだ。

 ヤンキース、マリナーズ、ブルージェイズなどとの争奪戦を制したレッドソックスにとって球団初の日本人野手。ボラス代理人は「彼が成功しやすい球場を選んだ」と説明した。本拠フェンウェイ・パークは、高さ約11・3メートルの巨大フェンス「グリーンモンスター」が左翼で存在感を放つが、本塁からその左翼まで94・5メートルと極端に狭い。広角に強い打球を飛ばすのが持ち味で、しっかりミートさえすればフェンス直撃の安打量産が期待できる。守備エリアが限られるため、守りの負担も軽い。昨季から2年連続でパ・リーグ最高出塁率を獲得し、プロ7年間で通算打率・327を誇る打棒が最も生きる新天地といえる。

 吉田正は近日中に渡米してボストンで身体検査を受け、入団会見に臨む見通し。

 オリックスを26年ぶりの日本一に導いたスラッガー。12歳の時、小学校の卒業文集には「ぼくの将来の夢は大リーガーです」と記した。「小さい時からの夢。ずっと高いレベルでやりたいと思っていた」という憧れの舞台への切符を堂々とつかんだ。

 ▽ボストン・レッドソックス ア・リーグ創設の1901年にアメリカンズとして誕生し、08年から現名称。通算511勝のサイ・ヤングや714本塁打のベーブ・ルースらがプレーし、12年開場の本拠地フェンウェイ・パークは現存する大リーグ最古の球場。2004年に86年ぶりにワールドシリーズ制覇。それ以降は3度頂点に立った。日本選手は大家友和(99~01年)、野茂英雄(01年)、松坂大輔(07~12年)、岡島秀樹(07~11年)、斎藤隆(09年)、田沢純一(09~16年)、上原浩治(13~16年)、沢村拓一(21~22年)が所属し、吉田正が9人目で野手では初。

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