阪神OB・奥村武博氏が公認会計士として森木らに講義「しくじり先生のような形で失敗体験を包み隠さず」

[ 2022年12月9日 05:15 ]

阪神の「新人選手研修会」で講演した球団OBで公認会計士の奥村武博氏(阪神タイガース提供)
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 阪神の1年目を終えた選手を対象にした「新人選手研修会」が8日に甲子園の室内練習場で行われ、球団OBで公認会計士の奥村武博氏(43)が納税に関する講演を行った。

 97年ドラフト6位で井川慶、中谷仁らとともに阪神に入団も肩や肘の故障もあって1軍登板はなく、4年目オフに戦力外通告を受けて現役を引退。04年の秋から資格取得の勉強を始め、13年に合格率約10%と最難関の国家試験として有名な公認会計士の試験に合格し、この日選手への講演という形で甲子園への凱旋を果たした。

 「こういう形でここに戻ってくることは全く想像していなかったので、率直にうれしい」

 プロ1年目を終え、初の確定申告が待つ選手たちへ約20分間の講義を通じ、適切な納税への意識を重点的に説いた。「早く戦力外になってしまった経験だったり、“しくじり先生”のような形で失敗体験を包み隠さず。専門的な会計士としての知識と、選手だった経験を組み合わせることで、より選手のみなさんに伝わりやすい話にできるように」。現役時代の自らの“失敗談”を交えながら、節税と脱税の違いなどを実際にあった事例を用いて説明した。

 選手としては花が開かずとも、セカンドキャリアで再び訪れた球団との接点。プロ野球生活で培った経験が、今の職にも活きていると奥村氏は話す。「自分が目指すポジションにたどり着くために今何をすべきか考えられるってのは、野球と特につながっていたなと。人から見て盗むじゃないですけど、仕事ができるようになるために、自分がやりたい仕事を手に入れるために、能動的に動く姿勢は野球で学んで得たこともあります」。他に例を見ないようなキャリアを歩んできたからこそ、自らが伝えられる使命を胸に抱く。

 「先に引退した者が次のフィールドでチャレンジを続けて、野球でやったことを活かしながら前に進んでいく姿を見ていただいて、将来プロ野球を目指すような子どもたちにも『引退してからこういうことできるんだったら、もっと野球に打ち込んでもいいな』とか。野球で学んだことってこういうふうに生かせる道があるんだみたいな、そういう一つの事例になればいいなと思っている。別の形から野球界への貢献って、こういうことなのかなって思いはあります」

 新人選手研修会を終えて、左腕・桐敷は「自分の勝手なイメージでは球団関係とか、野球に携わる仕事がセカンドキャリアなのかなと思っていました。会計士という全く違う仕事で阪神に関わられて、いろんな方向性があるんだなと感じました」と口にした。再び交わった阪神との縁。奥村氏は「できるだけ継続的にこういう機会が持てるようになったり、いろいろ情報を発信して選手の目に触れることで、継続的に意識を保ってもらうことは自分自身も意識してやっていきたい」と意欲を示した。(阪井 日向)

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2022年12月9日のニュース