大谷派「史上最も価値のある選手」ジャッジ派「投高打低の年に22本差」 記者たちが明かすMVP投票理由

[ 2022年11月19日 04:45 ]

大谷(右)とジャッジ(AP)
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 大リーグ機構(MLB)は17日(日本時間18日)、今季の両リーグMVPを発表し、ア・リーグのエンゼルス・大谷翔平投手(28)は2年連続受賞を逃した。リーグ新の62本塁打を放ったヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)が初選出された。今年実際に投票した全米野球協会所属の記者に投票理由を聞いた。大谷を1位とした2人は、ともにエンゼルス担当。ジャッジに1位票を入れた28人はそれ以外の担当全員で、いずれも2位には大谷を選んだ。

≪サム・ブラム(ジ・アスレチック)≫
 エンゼルス担当で毎日大谷を見た結果、どの時代のどの選手と比較しても野球史上最高のシーズンを送ったと考えている。昨年は満票MVPだったが、投手として著しく良くなり、もし中4日で投げていればサイ・ヤング賞のチャンスもあった。打撃面でも本塁打数が減ったというけど、総合的には昨年よりむしろ上だ。投手とDHの一人二役の試合が28試合あって、157+28の185試合プレーしたとも考えられる。去年の対抗馬だったゲレロに比べ、ジャッジの方が優れたシーズンを送ったが、大谷の活躍は歴史上、類を見ないもので、ジャッジとはレベルが違う。大谷に投票しない人は、二刀流で彼がやっていることを当然のことのように考えてしまったからだと思う。

≪グレグ・ミーチャム(AP通信)≫
 大谷に1位票、ジャッジに2位票を投じた。大谷は大リーグ史上最も価値のある選手だ。ベーブ・ルースが活躍した時代をさらにさかのぼったとしてもだ。今季のジャッジも素晴らしいシーズンを過ごし、MVPに値する。だが、投票要項でMVPの定義は曖昧で、我々の判断で「価値」の定義を決めていいことになっている。純粋にオールスターレベルで投打2つのポジションをこなす選手は、一つのポジションでプレーする選手よりも、チームにとって価値がある。大谷は史上最高のシーズンの一つを終えた。シーズンを通して2つのポジションでエリート選手であり続けたことは、誰よりも価値があることは明らかだった。

≪ジェシー・ロジャーズ(ESPN)≫
 普通のシーズンなら、私は大谷をMVPにしただろう。しかし今年は普通ではなかった。ジャッジがバットで歴史的な数字を残した。62本塁打でロジャー・マリスのア・リーグ記録を61年ぶりに塗り替えて球界を盛り上げ、なかなかホームランが出なかった投高打低の年に、2位のトラウトに22本も差をつけた。3冠王は獲れなかったけどそれに近かったし、出塁率も長打率も両リーグを通じて1位だった。バットでこれだけ他の打者に差をつけることは、野球の歴史の中でもなかなかない。大谷がMVPにふさわしくないというわけではない。私はMVPを決める時にチーム成績は重視しない方だが、ヤンキースが99勝できたのは意味があることだと感じている。

≪マーリー・リベラ(WSPN)≫
 ジャッジはヤンキースの成功のためになくてはならない存在だった。それが私のMVPの定義。どれだけチーム成績に対しインパクトがありペナントレースに影響を与えたかが大事。ジャッジがいなければプレーオフに出ていなかったかもしれない。エンゼルスは大谷がいなければ89敗では済まず、さらに20敗したと考えていて、ジャッジに次いでチーム成績への貢献度が高いと判断し2位とした。断っておくけど、ヤンキース担当だからジャッジに投票したとは思ってほしくない。ただ二刀流の大谷と比べるのは、リンゴとオレンジを比較するようなもの。大谷のような選手が出てきたことで、定義を明確にするなどMVPの選び方も工夫すべきだと思う。

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