大谷2年連続MVPならず　チーム低迷、二刀流への慣れ…担当記者が分析“落選”3つの理由

MLBネットワークのMVP発表にオンラインで登場した大谷
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　大リーグ機構（MLB）は17日（日本時間18日）、今季の両リーグMVPを発表し、ア・リーグのエンゼルス・大谷翔平投手（28）は2年連続受賞を逃した。リーグ新の62本塁打を放ったヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手（30）が初選出された。1位票は30人中、ジャッジが28票に対し、大谷は2票。ジャッジ優勢の予想は覆せず、130点差と大差がついた理由を本紙大リーグ担当の柳原直之記者（37）が解説した。

　MVP争いで大谷が得た1位票はエンゼルス担当記者による2票のみ。残り14球団の記者28人がジャッジを1位に選び、合計130点差で大敗した。とはいえその28人全員が2位票は大谷と完全な一騎打ち。全米で論争が過熱したほどだったが、何が差を分けたのか。

　（1）チームの勝利　低迷した大谷のエ軍に対し、ジャッジは名門ヤンキースを3年ぶりの地区優勝に導いた。MVPとチームの勝利は必ずしも直結しないが、投票時期はレギュラーシーズン終了直後。9月のし烈な優勝争いの中で打ちまくり、終盤戦の盛り上げという点で、ジャッジに軍配が上がった。

　（2）本塁打　ジャッジは61年ぶりにロジャー・マリスのア・リーグ本塁打記録を更新した。ステロイド時代の記録だが、シーズン最多73本のバリー・ボンズやマーク・マグワイアらが、ストライキ後の大リーグ人気を盛り上げたのは事実。本塁打には野球というスポーツにおいて唯一無二の魅力が詰まっている。大谷は40発の大台に乗せれば、印象度が違っただろう。

　（3）二刀流への慣れ　「Don’t　take　it　for　granted」（当たり前だと思わないでほしい）。ジョー・マドン前監督が二刀流について、口酸っぱく話していた言葉だ。昨季届かなかった2桁勝利＆2桁本塁打をつかみ投打同時で規定達成という史上初の快挙を達成したが、昨季の衝撃は超えられなかった。リアル二刀流での投打完走が、もし今季初めてだったら――。昨年の満票MVPが評価のハードルを上げたのは事実だ。

　受賞者発表前に大谷は中継インタビューに出演し「ここに呼ばれていること自体が凄く光栄。来年以降も数多くここに来られるように頑張りたい」と語った。昨季以上の成績を残した二刀流はいまだ無冠。後世まで語り継がれるMVP争いになったのは間違いない。

　▽昨年の大谷のMVP満票受賞　昨季は打率・257、46本塁打、100打点、9勝2敗、防御率3・18と投打二刀流で初めて完走。11月18日に発表されたア・リーグMVPでは、30人全員が1位票を投じる満票で受賞した。満票受賞は1931年に現行の投票方式となってからは19人目。日本選手では01年のイチロー（マリナーズ）以来、20年ぶり2人目の受賞。2位はブルージェイズ・ゲレロで2位票を29票集めた。3位はブルージェイズ・セミエン（現レンジャーズ）。

　▽MVP選出方法　全米野球協会所属の記者の投票で決まる。ア、ナ各リーグで全15本拠地から2人ずつ、計30人ずつが投票者となる。投票は10人連記で、1位は14点、2位は9点、以下は1点ずつ減り10位は1点となり合計点で決める。投票はポストシーズン前が締め切りとなる。