阪神・青柳の“神通力”雨も呼んだが勝利も呼んだ「自分らしく頑張ろう」7回無失点の快投

セ・リーグ   阪神1―0広島 （ 2022年8月30日    甲子園 ）

＜神・広＞強い雨が降り出して試合開始が遅れ、自分のせい？と苦笑いの先発・青柳（撮影・成瀬　徹）
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　約1カ月ぶりに帰ってきた聖地で“本領発揮”した。国歌斉唱を終え、あとはプレーボールを待つだけの試合直前。阪神・青柳が一塁ベンチ前でキャッチボールを始めると突然の豪雨に見舞われた。

　「プレーボールがかからなくて、みんな僕のせいにしていたので、僕のせいじゃないでしょって（笑い）」

　一度はマウンドに立って投球練習を始めたものの、雨脚はさらに強まって試合開始は遅延。雨に打たれた本人も苦笑いを浮かべていったん、ベンチへ下がった。5月13日DeNA戦で登板予定の試合の降雨中止、ノーゲームが通算12度目（スポニチ調べ）となり球団歴代1位のメッセンジャーを抜いてトップに。自他ともに認める、雨を連れてくる男“雨柳さん”の神通力を見せつけられる形で試合は45分遅れで始まった。

　“水”を差された形でも「やるって聞いて気持ちを切り替えて準備できた」と影響はなかった。初回は大盛、野間、西川を3者連続三振。その後も粘りの投球を展開した。最大のピンチは5回。1死一、三塁とされたが、投手・森下のスクイズを捕ゴロに退けて阻止するなど窮地をしのいだ。

　前回23日のDeNA戦は5回3失点で降板し3敗目。今季初の連敗を喫するなど、過去の直近6試合は最長6イニング、3試合連続で白星から見放されていた。「今回ダメならファームに落ちるだけの意識で投げていた。森木とか良いピッチャーがいるので変わるだけ」と悲壮な覚悟で上がったマウンド。自身としては7月22日のDeNA戦以来となる甲子園のマウンドで「自分らしく頑張ろう」と笑顔も見せながら腕を振った。

　100球を超えた7回も続投し4安打無失点の好投。四死球なし、長打ゼロの要因に「内なのか外なのか2分割のイメージ」とシンプル思考を挙げた。

　「悠輔がホームランを打った後に“すいません”と言ってきたけど、そんなの気にせず、チームが勝ってくれたのがうれしい」。雨も滴る青柳の男気ピッチだった。（遠藤　礼）

　▼広島・朝山打撃コーチ　最近は他のチームも（青柳には）左を多く並べている。右打者には食い込んでくるツーシームと曲がり幅が大きいスライダーは難しい。（5回は青柳から）セーフティースクイズで一塁側へ転がすのは難しいので思い切ってスクイズで仕かけた。捕手前に転がってしまって…。森下は責められない。セ・リーグで一番抑えている投手なので、何が何でも1点を取りにいくというのは最初から決めていた。