鈴木啓示氏 開始遅れても最高の立ち上がりを見せた青柳 エースが投げた試合で阪神が勝った意味は大きい

[ 2022年8月31日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1―0広島 ( 2022年8月30日    甲子園 )

鈴木啓示氏
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 【鈴木啓示 視点】12勝の阪神・青柳、10勝の広島・森下、両チームのエース格の投げ合いは見事だった。2日の巨人戦以来白星がなく、ここ2戦は敗戦投手になっている青柳は不安もあったと思う。球場ではスタメン発表も終わり、投球練習も済ませて、さあプレーボールという直前に急に雨が強くなって45分の開始遅れだったが、それでも3者三振の最高のスタート。難しいシチュエーションでも、しっかりと試合に入っていけた。中盤は両軍、再三の好機をつくりながらもスコアレスが続く中、青柳と森下の我慢比べになった。青柳はコーナー四隅と低めに制球できていたし、森下はどちらかといえば真ん中に集まってしまっても真っすぐは力強く、チェンジアップなど変化球はキレがあった。先に1点をやれば負け、味方打線は早く1点を先に取ってほしい。2人は相手打線と戦い、相手投手とも意地の張り合いを展開していた。結果は、どちらも『負けなかった』。

 青柳は昨年、最多勝のタイトルを獲ってエースの風格が身についた。それは単なる勝ち星の数だけではない。立ち居振る舞いや責任感といえばいいだろう。自身がいま置かれている立場をわきまえ、伝わってくるふだんからのコメントや練習態度から、そう思わせる。矢野監督やコーチからはもちろん、チームメートにも背中で引っ張ることができているように見える。

 青柳は7回無失点。13勝目をつけてやれば一番よかったが、エースが投げたゲームでチームが勝った意味は大きい。首位ヤクルトや、2位DeNAまでゲーム差はまだまだ開いているが、最終143試合目まで楽しみな戦いは続く。(スポニチ本紙評論家)

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2022年8月31日のニュース