レイズ筒香 デビュー弾!松井氏の言葉で「逆方向」に確信

[ 2020年7月25日 23:00 ]

ア・リーグ   レイズ4―6ブルージェイズ ( 2020年7月24日    セントピーターズバーグ )

5回の第3打席でメジャー初本塁打を放ったレイズの筒香嘉智(AP)
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 レイズの筒香嘉智外野手がメジャーの舞台にたどり着いた要因の一つは、周りに左右されない「芯の強さ」だろう。初安打は、プロ入り当時からこだわった逆方向への打球。1―6の5回2死一塁、昨季の最優秀防御率左腕・柳賢振(リュヒョンジン)の外角速球を左中間に運んだ。

 今年1月、筒香にインタビューした。「メジャーでの成功のカギは?」と聞くと「逆方向です」と即答した。メジャー特有の動く球を引っ張ってはゴロになる。ギリギリまで引きつけて、逆方向にはじき返す。取り組みが間違っていなかったことを自ら証明した。

 過去に日本人パワーヒッターと言えば、ヤンキースなどで175本塁打した松井秀喜氏がすぐに浮かぶ。筒香を語る上で、松井氏との縁も欠かせない。10年の横浜(現DeNA)入団1年目に与えられた背番号は55。球団は同じ高卒出身の左打者に「ハマのゴジラ」の期待を込めた。しかし、筒香には抵抗があった。そのオフ、わずか1年で背番号を55から8に変更(12年から25)。「自分は自分」との信念からだった。

 「ハマのゴジラ」と決別した筒香だが、逆方向への打球に確信を得たのも、松井氏の言葉だった。15年2月の沖縄・宜野湾キャンプ。臨時コーチとして訪れた松井氏と約3分間、会話を交わした。自身の考えが間違っていないか聞くと「そのままでいい。俺は米国で凄い苦労したから」との答えが返ってきた。筒香は「プロ入り当初は反対方向に打っていると、コーチに“振り遅れている”とか“引っ張らないと試合で使わない”とも言われました。でもそこを曲げずにやってきてよかった」と話す。

 16年以降、139本塁打中、3割の42本が左方向。周囲に何を言われようと、考えを変えるつもりはなかったが、メジャー1年目に「ゴロキング」と揶揄(やゆ)されるほど苦しんだ松井氏の言葉がさらに背中を押してくれた。

 09年10月16日。当時横浜高3年の筒香は、10歳離れた兄とともに1泊3日の強行軍でロサンゼルスに行き、ドジャース―フィリーズのリーグ優勝決定シリーズを観戦した。試合前。三塁ベンチ上のスタンドで、本塁打王2度のライアン・ハワードの打撃練習を食い入るように見つめた。それから11年後。メジャーの舞台に立ち、最高のデビューを飾った。「逆方向」への本塁打は、今後も筒香の成功への道筋となる。(甘利 陽一)

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