球児、野茂超え最速日米通算1000K “火の玉”で白星呼んだ

[ 2016年7月27日 05:30 ]

<神・ヤ>日米通算1000奪三振を達成し、受け取った花束を掲げる藤川

セ・リーグ 阪神5―3ヤクルト

(7月26日 甲子園)
 阪神・藤川球児投手(36)の“火の玉”が7連敗中だった甲子園球場をよみがえらせた。26日のヤクルト戦で同点の8回に登板して日米通算1000奪三振を含む2奪三振の力投。直後にゴメスの決勝弾を呼んだ。本拠地では6月28日のDeNA戦以来、8試合ぶりの白星。勝利投手として復帰後初めて甲子園球場のお立ち台に上がり、約1カ月ぶりの六甲おろしをかみしめた。

 藤川は全力を込めた“火の玉”で立ち向かった。8回1死一塁。大引に全球直球を挑んだ。カウント1ボール2ストライクからの4球目。高めの146キロで空振りさせた。日米通算1000個目の三振を慣れ親しんだマウンドで刻んだ。

 「ほとんどを甲子園で一つずつ積み重ねてきた。矢野さんらたくさんの捕手に1球ずつ受けてもらって、今日は原口という新しい捕手に受けてもらった。あといくつ取れるか分からないけど、喜んでもらえるように頑張りたい」

 投手であれば誰もが理想とする「三振」を奪い続けた。すべてはチームのため―。「いつ投げられなくなってもいい」。海を渡る前から口癖のように言い続けてきた。貫いてきたのは奪三振への意欲ではなく、全力投球へのこだわりだ。

 だから、積み重ねた数字そのものには「特にこだわりはない」と言い切った。内容は圧巻だ。日米通算の“参考記録”ながら、1000奪三振到達に要した767回1/3は国内の1000奪三振達成者の中で最速を誇る野茂英雄の871回よりはるかに少ない。

 1001個目は強打のバレンティンから奪った。2死一、二塁で再び全球直球勝負。真ん中高めで空振りさせた。「三振以外にもアウトを取れる技があればいいけど、あまり持っていないから。最後は狙いました。やり続ける限りは成長してやっていきたい」。直後にゴメスの決勝弾が出たのは偶然だろうか。見る者の胸を奮わせる力投は7連敗中だった甲子園を沸かせ、金本監督をうならせた。

 「素晴らしかった。真っすぐしか待っていなかったと思うけど、その中で取れた空振り。やっぱり球児」

 甲子園球場では6月28日以来の勝利をつかみ、復帰後初めて本拠地のお立ち台に上がった。『ウル虎の夏』と題して黄色いユニホームをまとい、同じように黄色に染まった光景がうれしかった。

 「いいチームだったと認識しているときは、黄色がすごく多いチームだったので。久しぶりにそういう空気だった。お客さんとも一体感が生まれて自分は好きです」

 約1カ月ぶりに勝利の六甲おろしも響いた。「今日は全力で歌って下さい。明日からも数多く歌ってもらえるように選手は全力でやっていきます」。借金13で最下位の苦境でも、猛虎はまだまだ戦えることを球児が証明した。(山本 浩之)

 ≪国内大台へ残り31≫藤川(神)が26日のヤクルト14回戦(甲子園)8回に大引から空振り三振を奪い、日米通算1000奪三振を達成。内訳は日本で968、米国で32。甲子園では456個を奪った。到達に要した767回1/3は、国内の1000奪三振達成者145人のうち、最速記録の野茂871回より100イニング以上速い。この日バレンティンからも三振を奪い、国内大台へ残り31。野茂とは先発と救援の違いこそあれ、到達すれば藤川のプロ野球最速記録更新はほぼ間違いない。またこれで今季救援転向後の甲子園では5月18日の中日戦から12試合、12イニング連続無失点となった。

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