【熊本】秀岳館、春夏連続夢舞台へ「熊本を元気にしたい」

[ 2016年7月27日 05:30 ]

<九州学院・秀岳館>春夏連続で甲子園出場を決め笑顔の鍛治舎監督(中央)ら秀岳館ナイン

第98回全国高校野球選手権熊本大会決勝 秀岳館13―2九州学院

(7月21日 藤崎台県営)
 春夏連続で夢舞台へ――。第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間)の熊本大会決勝が行われ、第1シードの秀岳館が九州学院を13―2で下し、15年ぶり2度目となる夏の甲子園出場を決めた。初回から自慢の強力打線が爆発し、20安打13点の猛攻。被災地熊本の代表として再び甲子園に乗り込む。

 マウンドに歓喜の輪が広がる。それでも、チームにとっては通過点に過ぎない。九鬼隆平主将(3年)は「日本一になるために今まで練習してきた。まずはホッとしています」と大きく息を吐き出した。センバツ4強から約4カ月。もう一度、聖地に戻るための切符をつかみとった。

 熊本地震で被災した益城町立広安小6年の古庄功史郎君の始球式で幕を上げた決勝戦。秀岳館打線は初回からアクセル全開だった。先頭の原田拓実(3年)が中前打で出塁すると、すかさず二盗。2番・松尾大河(3年)の右中間三塁打で先制した。「後ろが頼りになるので、自分は出塁することに意識を置ける」と言う原田は、この日6打数6安打と大当たり。理想的な形で流れをつくり、主導権を渡さなかった。

 4月14日。“夏こそ日本一を”と燃えるナインを地震が襲った。練習どころではなく、地元出身の選手が中心となって、宇城市の産業廃棄物処理センターで掃除や廃材運搬のボランティア活動を行った。ようやく全体練習ができるようになったのは地震から約1カ月後の5月9日。部員98人中44人での再始動だった。

 「焦るなと言い聞かせながら、地震で遅れた分を何とか取り戻そうと。野球指導者人生でも一番練習をやらせました」と鍛治舎巧監督。朝練習の徹底した逆方向への打撃練習に始まり、選手によっては1日1500スイングをノルマに日付が変わるまでバットを振り続けた。準々決勝以降に照準を定めたため、初戦の熊本西戦は疲労のためバットもまともに握れない状態。「負けたら仕方ない」。指揮官にとっても大きな賭けだった。

 優勝監督インタビューで指揮官が「春の悔しさを胸に全国制覇を狙います」と語ると、主将の九鬼も「今は野球ができることに感謝。優勝旗を持ち帰り、熊本を元気にしたい」と堂々の宣言。その姿に、復興支援の一環として無料開放されたスタンドに集まった観衆から拍手喝采が送られた。(鳥飼 祥平)

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2016年7月27日のニュース