【フィギュア団体】悔し涙のち笑顔 佐藤駿「バトン届けられた」 値千金自己ベストで大トリ完遂
ミラノ・コルティナ冬季五輪 第3日 フィギュアスケート団体 ( 2026年2月8日 ミラノ・アイススケートアリーナ )
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団体の最終日が行われ、日本は2大会連続の銀メダルを獲得した。米国と同点ながら上位種目ポイントで上回り、首位で迎えた最終種目の男子フリーで初出場の佐藤駿(22=エームサービス・明大)が194・86点をマーク。世界選手権王者イリア・マリニン(21)にはわずかに及ばず逆転を許したが、最終滑走者として自己ベストを更新する最高の演技で、個人戦に弾みをつけた。
ミラノのキス&クライに、美しき光景が広がった。顔を覆って号泣した佐藤を中心に、仲間たちがねぎらいの輪をつくった。最善を尽くしたフィナーレに、観客から最大の敬意を込めた拍手が送られた。「よく頑張った」。仲間たちの言葉に、佐藤は前向きになれた。「良いバトンがつながってきた。そのバトンを最後に落とすことなく届けられて良かった」。悔しさは残った。それでも、仲間たちと表彰台に立つと、笑顔に戻った。
団体の大トリを飾る好演だった。冒頭の大技4回転ルッツが決まると、迷いは消えた。直前の王者マリニンの得点は「頭に入っていた」。直前の6分間練習で跳んだ4回転フリップを強行して組み込む考えもあったが、誘惑を振り払った。4―3回転の連続トーループなど全ジャンプで高い加点を引き出し、雄大な「火の鳥」を完遂。仲間たちの声援に「自分もできる」と言い聞かせ続けた。しびれる日米決戦で、王者の背中に迫った。
夢舞台への始まりは4年前の22年2月10日だった。左肩手術が迫る佐藤は病床でテレビを見つめていた。画面に流れていたのは北京五輪男子フリー。全身麻酔が効いて意識がなくなり、目が覚めると、同年代の盟友・鍵山の銀メダル獲得を知った。「あの舞台に立てるように」。リハビリからの復活は、その思いが支えだった。
ジャンプすら跳べない日々は半年続いた。「どう上げていけばいいかあまり分からなかった。不安が強かった」。二人三脚で歩む日下匡力コーチは全国のリンクに連れ出し、単調な日々に刺激を与えてくれた。「周りの温かさを凄く感じた」。支えてくれる人たちのため不平不満は一切、口にしなかった。人生で一番つらかった時期を乗り越え、日の丸を背負う一員として全身全霊を振り絞った。
バトンを託し、託され、刺激し合った3日間。みんなでつかんだ団体の銀メダルは、強い結束の証だ。「やるべきことは最大限やることができた。良い流れを個人戦でも出していけるように」。確かな自信を胸に、2つ目のメダルを獲りにいく。
≪憧れは羽生結弦さん≫
☆生まれ 2004年(平16)2月6日生まれ、仙台市出身の22歳。父の転勤で埼玉県へ引っ越し、埼玉栄中、同高を卒業。明大在学中。
☆競技歴 5歳の時にアイスリンク仙台でスケートを始める。11年の東日本大震災直後は埼玉で浅野敬子、日下匡力の両コーチの指導を受け、父の転勤もあり中学2年から埼玉アイスアリーナに拠点変更。以降は日下コーチと二人三脚。
☆実績 13年から全日本ノービス選手権4連覇。19年ジュニアGPファイナル制覇。初出場の25年世界選手権は6位。24、25年とGPファイナル連続銅メダル。25年全日本選手権で初表彰台の準優勝。
☆得意技 中学時代から4回転ジャンプを組み込み、アクセルを除き最高難度の大技4回転ルッツが武器。練習では数回のチャレンジで着氷。19年11月の地方大会で羽生結弦さんに次いで日本人2人目の成功。
☆憧れ 同じアイスリンク仙台を拠点とした五輪2連覇の羽生さんが憧れ。幼少期にプレゼントされたペンダントは今もティッシュカバーにつけて持ち歩く。試合前に羽生さんの演技動画を見るのがルーティン。
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