【ジャンプ】丸山希 ブレークの秘密は「前傾」と「足圧」の進化 天国の母と約束果たす「金メダル目指す」
フォルツァ!日本
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日本勢メダル1号の期待がかかるノルディックスキー・ジャンプの丸山希(27=北野建設)を徹底分析する。五輪シーズンの今季に初優勝から一気に6勝を挙げ、ジャンプ界のニューヒロインへと駆け上がった。長野県野沢温泉村で生まれ育った歩みから人物像をたどり、飛躍の秘密を動作解析の第一人者、北翔大の山本敬三教授(51)が科学の目で解き明かす。まずは7日の女子ノーマルヒルに登場する。(取材・構成 中村 文香)
ジャンプ団体が金メダルを獲得し「日の丸飛行隊」に沸いた1998年長野五輪。その4カ月後、丸山は野沢温泉村で生まれた。ゲレンデやジャンプ台がある、スキー文化が根付いた土地だ。ジャンプとの出合いは小学1年生。「コーチが両側から抱えてくれて。でも、いきなり手を離されて飛んだのを覚えています」と振り返る。
中学まで指導した野沢温泉スキークラブの笹岡洋介さん(48)は明かす。「保育園の頃からお兄ちゃんとお姉ちゃんについてお弁当を持って来ていました」。ジャンプ台の管理棟でお弁当を食べながら兄や姉を待ち、ミニスキーやそりで遊ぶ。そんな環境で育った。
「みーちゃん」と呼ばれた少女は、小学校に入ると長野五輪の閉会式で流れた「WAになっておどろう」を音楽会で歌った。4年生で本格的に競技を開始し、同学年は丸山と男子2人。当時は男女の区分もなく、大会で負けると悔し涙を流した。5年生になると、スモールヒルからノーマルヒルへ。「希が最初に行くんですよ。男子は怖がって後から付いて行ってました」と笹岡さんは懐かしむ。
当時は世界を意識する存在ではなかった。おぼろげだった五輪の目標が明確になったのは明大時代。14年ソチ五輪で葛西紀明が銀メダルを獲得する姿に「輝かしい舞台を自分も目指したい」と心を動かされた。しかし、試練が待っていた。
代表入りが有力視された22年北京五輪直前の全日本選手権で着地の際に転倒。左前十字じん帯を損傷するケガを負った。明大スキー部総監督の成田収平さん(61)の携帯には、当時のメッセージが今も残る。「絶対に復活します」。ケガ直後に連絡をした際に丸山から返ってきた言葉だった。丸山自身はこう振り返る。「その時は競技歴の中で一番良いジャンプだった」。転倒の瞬間は覚えていないが、空中の感覚は体に残っていた。歩くことから始めたリハビリ。「ゼロから始まった」4年間は、その会心の飛躍を取り戻す旅でもあった。
五輪イヤーの今季、未勝利だった丸山が一気にブレークした。背景には昨季から取り組む足裏の感覚を重視した助走の改善がある。今季ここまで6勝。初の五輪の舞台に金メダル候補として立つ。
「金メダルを目指す」。そう言い切れる強さの裏には、積み重ねた練習への自信と、天国の母への思いがある。高校時代に病気で亡くなった母・信子さんから、繰り返し言われてきた。「何かで一番になりなさい」。その言葉を胸に、丸山は人生最高の飛躍に挑む。
≪90キロで滑りながら“前回りモーメント”生み出す「それがジャンプ」≫丸山躍進の理由を山本教授が「足圧(そくあつ)分布」データからひもといた。「一言で言うと、前傾が取れるようになったということ」と説明する。教授の分析によると、昨季と今季の前傾の深さに4~5センチの差があるという。「4、5センチでしょって思うかもしれない。でも流体的には、物凄く大きな差」。では、それが可能になったのはなぜか。その答えは踏み切り動作の変化にあった。
以前は多くの選手と同様、踏み切りの最終局面で「爪先」で蹴り出す傾向が強かった。だが山本教授は「爪先だけで蹴ると逆回転がかかり、時速90キロの風圧に負けて上体が起きてしまう」と指摘する。かつての丸山も、理想の姿勢をつくりきれない場面があった。
しかし、現在の丸山は違う。本人が「足裏が一番大事」と語るように、踏み切りの瞬間までかかとを浮かせず、足裏全体で台をプレスしている。これにより生まれるのが、前方への回転力「前回りモーメント」だ。この力が働くことで、風圧に押し戻されることなく、以前とは別人のような深い前傾姿勢をつくることができている。
山本教授は競技の特異性をこう表現する。「風がどれくらいであおってくるかは見えないし、支えてくれるかも分からない。でも時速90キロで滑りながら前方宙返りをする。それがジャンプなんです」。その上で「でも、それを獲得した丸山さんは今、凄く楽しいと思います」と続けた。
科学が裏付けた確かな技術。一瞬の踏み切りに向き合い続けた積み重ねが、丸山の飛躍を別次元へと引き上げた。その完成度を、五輪の舞台で証明する。
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