綿貫陽介 全豪初出場で格上から初勝利 日本男子4大大会51年ぶりの快挙

[ 2023年1月17日 04:45 ]

全豪オープン第1日 ( 2023年1月16日    豪メルボルン )

男子シングルス1回戦で力強いバックリターンを見せる綿貫(AP)
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 今季4大大会初戦が開幕し、男子シングルス1回戦で世界ランキング138位の綿貫陽介(24=フリー)が世界59位のアルトゥール・ランデルクネク(27=フランス)を6―3、6―3、6―2で破った。予選3試合を勝ち上がり、グランドスラム初出場。男子シングルスで4大大会デビュー戦の白星は日本勢51年ぶりの快挙となった。

 51年ぶりの快挙を達成しても、綿貫は落ち着いていた。初戦突破後の公式会見。冷房の効いた室内で報道陣から「今の心境は?」と問われると「この部屋、寒いですね」と率直な?気持ちを伝えた。4大大会男子シングルスのデビュー戦白星は72年全豪の田辺清以来。「良い形で勝てて、とてもうれしい。調子がいいとババッと勝つタイプ。予選をなかなか勝ち上がれなかった分、ジャンプアップできてよかった」と充実感をにじませた。

 相手の強力サーブを打ち返し、5度のブレークに成功。世界59位の格上に1度もブレークポイントすら握らせなかった。1時間43分の快勝。サーブ、リターンともに精度が高く「予選を戦ったアドバンテージがあった。自分の方が全体的に自信を持ってプレーできた」とうなずいた。4大大会の予選は18年ウィンブルドン選手権で初出場し、過去7度敗退。8度目挑戦の今大会予選は2回戦で2度のマッチポイントをしのいで逆転するなど3試合を勝ち抜き、初めて本戦に駒を進めた。

 実家がテニスアカデミーのテニス一家の三男。ジュニア世界ランキング2位になるなど注目を集め、18歳で全日本選手権も制した。その後はケガにも苦しみ結果を残せなかったが、昨夏から海外勢に打ち負けないパワーをつけるために肉体改造に着手。苦手のフォアハンドのリターン改善にも取り組んだ。昨年11月にツアー下部大会で2週連続優勝。自信を得て新シーズンを迎えていた。

 2回戦は世界31位のコルダ(米国)と対戦する。綿貫は「本戦が始まると、ゴールは優勝することと頭が勝手に切り替わった。まだ6試合もある。自分よりもランキングの高い選手とやれるワクワク感が強い」と視線を上げた。急成長中の24歳は真夏のメルボルンで新しい景色を満喫している。

 ◇綿貫 陽介(わたぬき・ようすけ)1998年(平10)4月12日生まれ、埼玉県春日部市出身の24歳。両親のテニスアカデミーで1歳からラケットを握る。12歳から「修造チャレンジ」に参加し、ジュニア時代から日本代表選手として国際大会に出場。10年に全日本ジュニアU―12で準優勝した。16年1月にプロ転向し、同年の全日本選手権で史上2番目の年少優勝。3兄弟の末っ子。コーチは次男・敬介氏。右利き。1メートル80、61キロ。

 ◆全豪オープンテニスはWOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドでは全コートライブ配信

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