新谷仁美 日本歴代2位でVもパリ五輪は「私のスケジュールには入っていません」

[ 2023年1月17日 04:37 ]

ヒューストン・マラソン ( 2023年1月15日    米ヒューストン )

ヒューストン・マラソンで優勝した新谷仁美(AP)
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 女子で1万メートルとハーフマラソンの日本記録を持つ新谷仁美(34=積水化学)が日本歴代2位の2時間19分24秒で優勝した。05年のベルリン・マラソンで野口みずきが樹立した2時間19分12秒の日本記録へ12秒に迫る力走だった。今回が5度目のマラソン出場で、19分台は日本女子では18年ぶり4人目。01年の高橋尚子、04年の渋井陽子の記録を上回り、昨年3月の東京でマークした2時間21分17秒の自己ベストも大幅に更新した。

 日本女子歴代2位の好タイムにも、新谷は悔し涙で目を腫らした。目標の日本記録まであと12秒。レース後は座り込んでむせび泣き、表彰式では両手で両目を拭った。「自分を犠牲にしてでも私に懸けてくれた人たちがたくさんいた。私が返せるものって結果しかない」。偉業には届かず申し訳なさが募った。

 起伏の少ない市街地のコースを男性のペースメーカーについてレースを進め、35キロまでは野口の日本記録を上回った。快走の要因は調整法の変更。昨年までは歴代のエースが月間で1000キロ走り込んできたことに倣い、嫌々ながら走り込んだがたびたび体に異変を感じた。猛特訓は「自分には必要ない。効率が悪い」と決心。今大会前は40キロ走に一度も取り組まず、走る量も月間800キロ強にした。余計な疲労を蓄積せずに本番に臨んだ。

 昨年7月の世界選手権を新型コロナウイルス感染で欠場。帰国後は「沖縄で1人旅していたので、1カ月くらい走っていなかった」。コロナから回復後しばらく味覚障害やせきなどに苦しめられたが「4回目のワクチンを打ったので最強な体してます!」と新谷節で復活を宣言していた。

 昨年3月以来となる久々の一戦で優勝し、自己記録も大幅に更新。「着実に力はついた」と自信は深めたが、来年のパリ五輪は現時点で「出ません。私のスケジュールには入っていません」。10月の五輪代表選考会には目もくれず、9月のベルリン・マラソンに出場する意向を示した。18年前に野口みずきが日本記録を打ち立てた地。「更新を目標に、もう一度頑張りたい」と力を込めた。

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