【元日女子相撲】華やかな演出で既存のイメージを一新 女子相撲界の課題と普及への願い

[ 2023年1月1日 19:55 ]

<元日女子相撲>ライトアップされた土俵で日本一決定トーナメント決勝を戦った長門美咲(左)と久野愛莉(撮影・前川 晋作)
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 女子相撲の普及・発展を目的とした「元日女子相撲日本一決定戦」が1日、東京都立川市のアリーナ立川立飛で開催された。

 この大会は日本相撲連盟主催の下「女子による女子のための大会」の実現を目指す初の試みとして行われた。大会名のサブタイトルにもなっている「#広がれ女子相撲の輪」「#伝われ女子相撲の魅力」がテーマ。「普及につながる大会を」と8人の準備委員が中心となり、従来の女子相撲の大会とは異なる新たな形の大会を創設した。

 全11部門の決勝戦と日本一決定トーナメントの全試合では、会場が暗くなり土俵にスポットライトが当たった。選手の呼び上げ時には音楽もかかり華やかな演出に。各部門の優勝者からは「ライトアップされていつもより緊張した」「勝った時は気持ちよかった」など、今までにない雰囲気に驚きと喜びの声が上がった。
 この演出は大会準備員会の女子選手たちが考えたもの。委員長を務めた太田麻乃さん(36)は「大相撲のイメージが強いから女子の普及が遅れていると思ったので、そのイメージを払拭できる方法はないかと考えた」と経緯を説明。固定概念にとらわれない妙案によって、競技としての普及や発展につながることを期待した。

 今大会の発案者の一人である日本相撲連盟専務理事の安井和男さんは「(アマチュア相撲は)スポーツ庁の管轄だから、一つのスポーツとしての相撲をみんなに知ってほしい」と話した。伝統文化を守る「大相撲」とは違い、スポーツとして発展していくためには変化と進化も必要。女子の普及はアマチュア相撲界の急務の課題であり、そのためには新たな試みをしていく必要があると説いた。

 大会準備委員長の太田さんは、女子相撲界を取り巻く現状と課題についても言及。「まだまだ女子選手は、対戦相手だけでなく周りの理解や環境とも戦っている。“何で女子なのに相撲?”というような言葉と戦っている人もいる。そういうものに打ち勝って、自分にも相手にも勝ち続けなければたどり着けない土俵がある」。一人一人が競技者として上を目指す中で直面しているさまざまな障壁。それでも相撲が好きで相撲を続けて頑張っている選手たちの一生懸命さこそが、女子相撲の魅力であるという。「今日は選手たちが力を発揮して輝いてくれた。笑顔がたくさんあふれていたのでよかったです」。充実の表情で振り返り、この大会を機にさらに発展していくことを切に願った。

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2023年1月1日のニュース