どうなる?運命の最終節 アメフト関学大、勝てば全勝で全国切符 関大・立命大にも可能性残る

[ 2022年11月23日 06:00 ]

関西学生アメリカンフットボールリーグ第7節   関学大―立命大 ( 2022年11月27日    万博記念競技場 )

第77回甲子園ボウル
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【Road to 甲子園ボウル 12・18決戦】宿敵同士が一瞬だけ心を通わせた。前節13日の万博記念競技場。第1試合で1敗を死守した立命大QB庭山大空が帰り際、関大との全勝対決を控えた関学大RB前島仁の姿を見つけ、どちらからともなく近づいた。同じ3年生の2人は、関学中学部時代のチームメート。関大が勝てば、両雄の22年シーズンが終わってしまう状況で伝える言葉は一つしかない


 「勝ってくれよ」

 「任せとけ」

 フィールドを縦横無尽に駆ける前島の脳裏には、絶えず旧友の顔があった。オフェンスで唯一となるTDを奪い、ディフェンスの奮闘もあって17―10と強敵を撃破。「男の約束」を果たし、今度は敵となる相手司令塔の存在をこう明かした。

 「自分の中では刺激し合える関係かな、と」

 彼らと同じく、関学大と立命大も、常に切磋琢磨(せっさたくま)しながら、関西の覇権を競ってきた。ただ、2位、3位校にも敗者復活のチャンスがあった16年以降は、関学大が6年連続甲子園ボウル出場中。コロナ禍でトーナメント開催だった2年前を除き、5回中3回はリーグ戦と西日本代表決定戦で立命大に連勝、2回はリーグ戦で敗れた借りを同決定戦で返し聖地に立っている。今年は全日本大学選手権のシステムが改定され、1位校だけが突破。敗者に次はない。

 もし最終節で関大、立命大がそれぞれ勝てば、関学大と合わせた3校が1敗で並びリーグV。以前ならプレーオフが開催されたものの、今年は抽選で同選手権出場校が決まる。過去のどの一戦よりも、最終決戦が持つ意味合いは大きい。

 「(関大戦で)出し尽くした感がある。(プレーの)ネタが残ってないし、ヤバい」

 大一番に向け、関学大の大村和輝監督が口にした言葉は、半分本音に違いない。関大戦の獲得ヤードは相手より100ヤード以上少ない182。オフェンスの不調を守備の奮闘でカバーし、勝ち抜いた。余力を残して勝てるほど、終盤戦は甘くない。

 「関大戦で高い授業料を払ったけど、どんな形であれ、甲子園に行くことしか考えていない」

 そう話す庭山の目には、新たな闘志が宿っていた。「一度死んだ身」ほど、強いものはない。王者の関学大が守りに入るようなことがあれば、開き直ったライバルを止めるのは難しくなる。

 そして人事を尽くした関大は、立命大の勝利を願い、「3分の1」の確率にかける。3年ぶりに復活したリーグ戦。最終節に用意されたシナリオは、だれも予想できない。 (堀田 和昭)

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