大西魁斗、PO制し絶叫初V 23歳男子版「黄金世代」から新星 「夢の世界にいるみたい」

[ 2022年9月5日 04:55 ]

男子ゴルフツアー フジサンケイ・クラシック最終日 ( 2022年9月4日    山梨 富士桜CC=7541ヤード、パー71 )

プレーオフ1ホール目、ウイニングパットを決め雄叫びを上げる大西魁斗(撮影・西尾 大助)
Photo By スポニチ

 ツアー2年目の大西魁斗(23=ZOZO)が通算11アンダーで並んだ朴相賢(パクサンヒョン)(39=韓国)とのプレーオフを制し、初優勝を飾った。18番でのプレーオフ1ホール目、最後は約2メートルのバーディーパットを沈め、決着をつけた。平均パット数(1・6937)は今季1位に君臨。9歳で渡米して腕を磨いた逆輸入のエリートが、総合力の問われる全長7541ヤードの難コースで頂点に立った。

 富士の麓にアメリカンな雄叫びが響く。「カモーンッ!」。最後は今季、磨いてきたパットで決めた。18番でのプレーオフ。残り172ヤードの2打目を約2メートルにつけた。代名詞の中尺パターをクロウグリップで握り、スライスラインを沈めた。決着は鮮やかなバーディー。「夢の世界にいるみたい」。端正なマスクを紅潮させた。

 米国育ちの23歳が日本で進化した。3月東建ホームメイト・カップでは平均パット2・0(91位)で予選落ち。すぐに内藤雄士コーチのもとへ駆け込んだ。スタンスを狭く目の位置をボールの真上に変えた。後はひたすら練習の日々。コースにつけばまず20メートル級のパットでその日の芝と距離感を確認した。現在、平均パット1・6937は1位まで上昇。パットの進化なくして初Vはなかった。

 9歳で渡米し、腕を磨いた。南カリフォルニア大時代はコリン・モリカワ(米国)らとしのぎを削り、オールアメリカンにも選出された。一方でビジネス学を学び、マーシャル(学位)も取得するなど成績も優秀。コロナ下で帰国した後も昼はレッスン、夜はリモートで勉学に励んだ。大みそかも正月も休むことはなかったという。ハイスペックな二刀流だ。

 この日、大西は1番の第1打で迷わず得意とする1Wを握った。「ドライバーでなくてもいいホールですが、攻めました。それが(4~6番の)3連チャンにつながったと思う」。攻めて攻めて3打差を逆転した。今後は欧州、米下部ツアーのQスクール(予選会)にも挑戦する。「次の目標は2勝目。将来はPGAツアーで優勝したい」。男女でゴルフ界を席巻する98年度生まれの「黄金世代」からまた一人、新星が現れた。

 【大西 魁斗(おおにし かいと)】☆生まれ、サイズ 1998年(平10)10月13日生まれ、愛知県出身の23歳。9歳で渡米、13歳からIMGアカデミーで英才教育を受ける。南カリフォルニア大に進学し、17、19、20年と「全米アマ」に出場。1メートル77、74キロ。

 ☆和製ホアキン・ニーマン 21年5月にプロ転向。飛躍の今季、トップ10入り8回は最多。2位も2度。平均パット、バーディー率で現在1位。頭を沈めてスイングする姿は和製ホアキン・ニーマンとも称されるが、大西は「昔からです」。

 ☆ランチパック 開幕時から体重は7キロ増。TシャツのサイズはLから2XLに、アイアンの飛距離は5ヤード伸びた。母・泉さんの料理とラウンド中に食べる「ランチパック」がエネルギー源、好きな味はピーナツ。

 ☆丸山イズム 10歳の時、カリフォルニアのゴルフ練習場で丸山茂樹の長男・奨王と出会い、意気投合。父の茂樹にも師事し「結果は良くても悪くても受け入れる」は人生の教訓。アプローチ技術なども学んだ。

 ▼父・泰斗さん 皆さま。息子の件で応援・お祝いの言葉、ありがとうございました。私も大変喜んでいます。(自身のツイッターで)

続きを表示

2022年9月5日のニュース