セキ・ユウティン、感涙初V 最大8人首位大混戦制した ツアー参戦6年目

[ 2022年9月5日 04:55 ]

女子ゴルフツアー ゴルフ5レディース最終日 ( 2022年9月4日    千葉 ゴルフ5カントリーオークビレッヂ=6465ヤード、パー72 )

優勝カップを手に笑顔を見せるセキ・ユウティン(撮影・会津 智海)
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 福井県生まれ中国育ちのセキ・ユウティン(24=中国)が、通算12アンダーで並んだ吉田優利(22=エプソン)とのプレーオフを制してツアー初優勝を果たした。4打差10位から1イーグル、8バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの66と伸ばしてプレーオフに持ち込み、2ホール目でバーディーを奪い決着させた。初日から単独首位の勝みなみ(24=明治安田生命)は72と伸ばせず、通算10アンダーの5位で終えた。

 プレーオフ2ホール目。勝利を決める4メートルのバーディーパットを沈め、セキは右拳を握った。念願の初優勝。支えてくれた人たちが思い浮かぶ。ポロポロとこぼれる涙を何度もハンカチで拭った。

 「まだ信じられない。昨日は弱虫だったので、プレッシャーから逃げずに頑張りました。とてもうれしい。優勝できたのはサポートのおかげ。やっと恩返しができます」

 最大8人が首位に並ぶ大混戦を制した。4打差を追いつき、13番でのイーグルで単独首位に立つ。直後の14番でボギー、15番ではダブルボギーを叩き後退。一瞬「無理かな」。だけど諦めない。16番から2連続バーディーで再びトップに立つ。日本ツアーで初めてのプレーオフ。全身が震えた。それでも「優勝したい」との執念が勝った。

 両親は中国人で福井で生まれ、父・越東(エットウ)さん(58)の仕事の関係で5歳で中国に渡った。ナショナルチームに入り、18歳で中国ツアーの賞金女王に。まさにエリート街道。当時は「自分を天才と思っていた」。17年から日本参戦。だが結果は出ない。パットイップスになり、ゴルフをやめようと思ったことも。まず考え方を変えた。「悔しかったけど、自分の立ち位置を下げて謙虚に」。感覚的だった練習方法も変えた。コーチ陣に相談。練習時間は6時間から4時間に減ったが、逆に「効率が上がった」。参戦6年目で優勝をつかめた理由だ。

 「私の年齢だと恋人をつくったり、友達と遊んだりしたい。ゴルフをしていると諦めないといけない。でも良かったです」。流ちょうな日本語で等身大の言葉を選び、喜びを表現した。次なる目標は国内メジャー制覇。米ツアー参戦も見据える。まだ24歳、夢は膨らむ。

 ◇セキ・ユウティン 1998年(平10)3月5日生まれ、福井県出身の24歳。5歳で中国に渡り、父・越東さんの練習に同行したことがきっかけで7歳からゴルフを開始。16年に18歳で中国ツアーの賞金女王。17年から日本ツアーに参戦。6年目の今季はQTランク42位の資格で出場し、この優勝で初のシードを獲得した。尊敬する選手は日米通算15勝のフォン・シャンシャン(中国)。優勝賞金1800万円の一部は、引退後に後輩を育てるゴルフアカデミー設立のために貯金する予定。ミツウロコグループホールディングス所属。1メートル71、63キロ。

 ▼父・越東さん 小さいころからゴルフをしていて、日本で優勝することは一つの目標でした。うれしいですね。でも、優勝は運もある。優勝できなくても褒めてあげたいと思っていました。(コースで優勝を見守って)

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2022年9月5日のニュース