砂村光信氏 今はなき日本の武器 スクラムと規律

[ 2021年11月22日 05:30 ]

ラグビーリポビタンDツアー2021最終戦   日本20ー29スコットランド ( 2021年11月20日    英エディンバラ )

<スコットランド・日本>スコットランドに20ー29で敗れた日本(AP)
Photo By AP

 【スコットランド戦総括】ラグビー日本代表は20日のスコットランド戦に20―29で敗れ、欧州遠征を1勝2敗、今秋のテストマッチシリーズを1勝3敗で終えた。23年W杯フランス大会へ浮き彫りになった課題と今後必要なものは何か。本紙評論家の砂村光信氏(元U―23日本代表監督)が総括した。

 日本が8強入りした19年W杯当時の武器が2つ失われたように感じる。一つは相手の反則を誘えなくなったスクラム。もう一つが、反則の最も少ないチームだったW杯から後退したディシプリン(規律)だ。笛が鳴った瞬間、どちらの反則なのか自信を持っていた2年前と異なり、今は分からずにレフェリーを見る選手が多い。コロナ下でも試合を続けていた強豪国は、厳格な判定に対し試合中にプレーを修正するが、長いブランクがあった日本は対応できていない。

 選手ではリーチの復調や姫野、中村、松島の充実、斎藤に刺激を受けたと思われる流の成長はプラスだが、ケガ人も多く、稲垣は練習不足なのか体が細くなった印象を受ける。ロックの人材不足は深刻で、WTBとFBの専門職も少ない。中野やフィフィタら新戦力は個々に選ばれたもので、U―20世界大会を戦った現在の大学4年の世代がそろって“昇格”するようなシステムがない。コロナを理由に次世代の強化が放置されており、今後、世代交代が進まない原因になりかねない。

 サンウルブズ消滅で強化の機会が減り、来年は積極的なマッチメークが必要となる。W杯開催地のフランスへは事前に行くべきで、1次リーグ同組のアルゼンチンとも対戦しておきたい。何よりも、選手たちの主戦場となる「リーグワン」の充実が重要であることは言うまでもない。(元U―23日本代表監督)

続きを表示

2021年11月22日のニュース