競泳・萩野が現役引退 「一番幸せだった」東京五輪で完全燃焼 今後は大学院進学などを検討

[ 2021年8月25日 05:30 ]

競泳の瀬戸(左)と萩野
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 16年リオデジャネイロ五輪競泳男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介(27=ブリヂストン)が現役を引退することが24日、分かった。既に所属先などへの報告を済ませた。16年9月の右肘手術後は記録が伸びず、19年には成績不振によるモチベーション低下を理由に長期休養も経験。東京五輪は200メートル個人メドレーで6位入賞したが、3大会連続メダルを逃した。今後は未定で、大学院進学などを検討しているという。

 競泳ニッポンの一時代を築いた萩野が一線を退く決断を下した。世界選手権福岡大会、栃木国体と“ホーム”でのイベントが続く22年を前にプールを去ることになった。

 東京五輪の200メートル個人メドレー決勝が最後のレースとなった。ライバル瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)と一緒に泳ぎ6位入賞。3大会連続の表彰台を逃したが「一番幸せなオリンピックだった」と満足感を口にし「ひとまずは、というところがある」と、競技人生に区切りをつける可能性を示唆していた。

 幼少期から「怪物」と騒がれ、栃木・作新学院高3年だった12年ロンドン五輪に初出場。400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得し、男子個人メドレー種目で日本人で初めて表彰台に立った。16年リオ五輪は400メートル個人メドレーで金、200メートル個人メドレーで銀、800メートルリレーで銅と金銀銅をコンプリート。13年日本選手権5冠、14年仁川アジア大会は4冠など複数種目をこなす万能スイマーとして活躍した。

 15年6月に骨折した右肘をリオ五輪後に手術したことを機に、記録が伸び悩んだ。17年にはプロ転向。ブリヂストンと推定年俸最大1億円の所属契約を締結したが、長い不振に陥った。19年はモチベーション低下を理由に約3カ月休養。丸刈りにして欧州を放浪した。自身と向き合うことで「やっぱり水泳が好き」と再確認。懸命に持ち直し、1年延期となった東京五輪の代表に滑り込んだ。200メートル個人メドレーは準決勝突破で号泣。決勝を「神様からの贈り物」と表現していた。

 一時は結果だけを求め「メダルを獲らないと意味がない」との意識があったが、休養後は心境が変化。「引退した方がいいと思うことも、いっぱいあった。でも、つまずいても立ち上がって、また前を向いて頑張る。そういうことも大事なのかなと」と競技に向き合う姿勢や過程を重視するようになった。不器用がゆえに「人生へたくそだな」と思い詰めることも多かったが、東京五輪では全力を出し切り完全燃焼。「支えてくれた人に感謝し、僕自身にも“ありがとう”と言いたい」と思い残すことはなかった。

 ◇萩野 公介(はぎの・こうすけ)1994年(平6)8月15日生まれ、栃木県小山市出身の27歳。生後5カ月でベビースイミングを始める。栃木・作新学院高―東洋大―ブリヂストン。五輪は12年ロンドンで400メートル個人メドレー銅、16年リオデジャネイロでは400メートル個人メドレー金、同200メートルで銀、800メートルリレーで銅と計4つのメダルを獲得。世界選手権は2度出場して銀メダル3つを獲得した。400メートル自由形、200、400メートル個人メドレーと3種目で日本記録を保持。1メートル78、74キロ。19年にシンガー・ソングライターのmiwaと結婚、1児の父。

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