引退の萩野 「何で星は輝いているのか、何で自分は泳いでいるのか…」胸に響いた小堀先輩の答え

[ 2021年8月25日 05:30 ]

東京五輪で競泳男子200メートル個人メドレーの決勝進出を決め目頭を押さえる萩野
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 【担当記者が見た萩野公介】20年3月、標高2300メートルのスペイン・シエラネバダ合宿中のインタビュー。萩野が1年先輩のチームメート小堀勇気(27)との満天の星空の下でのやりとりを明かしてくれた。「何で星は輝いているんですかね」と尋ねると「本人たちは光ってるって知らないんじゃないかな」と返されたという。どこか哲学的な言葉だったが「“なるほど”とふに落ちたんですよ。何で人は生きているのか、何で自分は泳いでいるのか、何で星は輝いているのか」と、しみじみと語っていた。

 16年リオ五輪で金銀銅メダルを獲得し、17年にプロ転向。輝くことを意識せざるを得ない立場になった。順調に練習を積めても本番になるとガチガチになり力を発揮できないレースが続く中、心を許す先輩の言葉が胸に響いたのだろう。当時は「今は3度目の五輪を目指しているが、山の登り方はいろいろある」とも言っていた。東京五輪では3大会連続メダルを逃したが、頂上にたどり着けなかったからこそ見えたものもあったはず。本人は気付いていないかもしれないが「一番幸せなオリンピック」と涙した姿は輝いていた。(水泳担当・木本 新也)

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2021年8月25日のニュース