貴景勝 初の逆転優勝へ2敗死守、巨漢・逸ノ城の右差し許さず押し出し

[ 2021年5月21日 05:30 ]

大相撲夏場所12日目 ( 2021年5月20日    両国国技館 )

逸ノ城(右)を攻める貴景勝(撮影・会津 智海)
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 大関・貴景勝が平幕・逸ノ城を押し出して2敗を守った。単独トップの大関・照ノ富士を1差でぴたり追走している。過去2度の優勝はどちらも初日から首位で逃げ切り。自身初の逆転賜杯を狙う。照ノ富士は前日反則負けの影響を感じさせない完璧な内容で難敵の平幕・阿武咲を退けた。

 勝ち残りの西土俵下で照ノ富士の勝利を見届け、花道を引き揚げる際も貴景勝の呼吸は少し荒かった。逸ノ城には過去7勝3敗と相性がいい。それでも1メートル92、200キロの巨漢を真っ向から突き押しで料理するのはひと苦労だ。身長で17センチ、体重で34キロの差を埋めるため、取組後、数分たっても息を切らすほど力を振り絞った。

 「(取組内容は)あまり覚えてないけど、しっかり準備できたかな。なかなか思い通りいけることはないので一生懸命にやりたい」

 立ち合いから突き放し、相手狙いの右差しを許さない。じわじわ追い込まれても突く手を休めなかった。スイングが大きい左いなしを放った際に左膝が大きく曲がり体勢を崩すピンチも、すぐに立て直して攻勢を継続。最後は根負けした相手の引きに乗じて押し出した。土俵下で見守った錦戸審判長(元関脇・水戸泉)は「(膝が入った場面で)大きな相手に前に出られたら、つぶされることもある。押す相撲は気力がないとね」と、大柄ではない体に宿る敢闘精神を称えた。

 18年九州場所、昨年11月場所と過去2度の優勝はどちらも初日から首位を走り、逃げ切ったもの。最大2差を逆転して賜杯を抱けば自身初となる。昨年11月は千秋楽の本割で照ノ富士に浴びせ倒され、もつれ込んだ優勝決定戦を制した。今場所、照ノ富士との対戦は千秋楽が濃厚で、昨年11月とは立場を入れ替えた戦いになる可能性もある。「一生懸命、集中して明日からもやりたい」。賜杯を見据えつつ、目前の一番に全力を注ぐ。

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