パラ陸上・辻 テスト大会でアスリートの本音吐露「人生懸けている。遊びじゃない」

[ 2021年5月12日 05:30 ]

陸上 東京パラリンピックテスト大会 ( 2021年5月11日    東京・国立競技場 )

女子400メートル走(T47)、無観客の新国立競技場を力走する辻沙絵(撮影・木村 揚輔)
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 無観客で行われ、五輪代表選手のSNSに直接五輪出場辞退を求めるなど東京五輪・パラ開催に逆風が吹く状況に、16年リオデジャネイロ大会女子400メートル(上肢障がいT47)銅メダルの辻沙絵(26=日体大教)がコロナに翻弄(ほんろう)されるアスリートの本音を吐露。人生を懸けて挑むという東京パラへの熱い思いを語った。

 約3カ月後に本番を控える国立競技場。400メートルのレースを終えた辻はミックスゾーンに着くとメダルへの思いをはせつつ、開催反対の意見が強まる現状にパラアスリートとしての覚悟を訴えた。

 「開催するしないはコントロールできないが私自身も人生を懸けて取り組んでいるし、生活もかかっている。遊びじゃないことだけは分かってほしい」

 五輪代表に内定した競泳の池江璃花子(20=ルネサンス)に対し、五輪開催へ批判的な言葉が投げつけられるなど選手自身も矢面に立たされる現状。「いろいろな方がいるので、いろいろな意見があるのは当たり前」と前置きした上で絞り出した魂の叫びだった。

 先天性の右前腕欠損だった辻は小学5年からハンドボールを始め、日体大2年時の15年2月に陸上に転向。リオ大会後も日体大教として競技を続ける。遊び感覚では続けられない。まさにスポーツが人生を変え、人生を懸けて陸上に打ち込んでいる選手の一人だ。

 10日に東京パラ代表に選出され、目標は2大会連続での表彰台を掲げる。「パフォーマンスに集中して、目の前に来ている大会を一生懸命こなすだけというふうに考えている」と決意を語った。

 ◆辻 沙絵(つじ・さえ)1994年(平6)10月28日生まれ、北海道七飯町出身の26歳。生まれつき右腕の肘から先がない先天性前腕欠損。父親の仕事の関係で小4で函館市に引っ越し、小5でハンドボールを始める。高校は茨城・水海道二高を選び、健常者にまじって活躍。日体大に進学後、15年2月に陸上に転向した。16年リオ大会では400メートルで銅メダルを獲得。1メートル58。

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