パラ女子シングルスカル 市川が代表決定もワクチンの選手団優先に複雑な表情

[ 2021年5月8日 05:30 ]

ボート東京五輪パラリンピックアジア・オセアニア予選最終日 ( 2021年5月7日    東京・海の森水上競技場 )

代表に内定し日の丸を背に笑顔の市川(中)(撮影・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 パラの女子シングルスカル(運動機能障がいPR1)決勝で市川友美(41=湖猿)が1位となり、自身初となる東京パラリンピック代表に内定した。前日6日にIOCが各国選手団に新型コロナウイルスワクチンの提供を発表したが、市川は選手優先となる状況に疑問を投げかけた。東京五輪代表には女子軽量級ダブルスカルの大石綾美(30=アイリスオーヤマ)冨田千愛(27=関西電力)組と男子シングルスカルの荒川龍太(26=NTT東日本)も決まった。

 全アスリートの胸の内が透けて見えるようだった。ワクチン接種の質問を投げかけられた市川は、複雑な表情を浮かべた。「選手だから先に打つよりも、20代、30代の仕事している人とかに打った方がいいんじゃないかなと思っています。ただ、海外から来る人が打っているのに、こっち(日本)の人が打っていないのはおかしいと言えばおかしいと思う」。困難を乗り越えて夢舞台の切符を獲得した直後でも、モヤモヤ感があった。

 今大会は市川とスリランカ選手の一騎打ち。前日の予備予選はスリランカのスタッフに陽性反応が出たため、濃厚接触の疑いがあった当該選手は出場せず。陰性が確認されて出場可能となったが、相手が棄権した場合は予選会として認められない可能性があった。

 12年にスノーボード中の事故で下半身に障がいを負い、16年に競技を始めた。「こんな状況でどうなるか分からないが、応援してくれる家族や友達に頑張っている姿を見せられるのはうれしい」。葛藤を抱え船出した。

 ◆市川 友美(いちかわ・ともみ)1979年(昭54)11月8日生まれ、愛知県出身の41歳。世界選手権18年7位、19年14位。産業能率大出、湖猿。1メートル74、61キロ。

続きを表示

2021年5月8日のニュース