日本一曲がらない男 稲森佑貴 ドライバーレッスン【第2回バックスイング(後編)】

[ 2021年1月15日 12:00 ]

バックスイングの解説をする稲森佑貴プロ(左)
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 日本オープン王者・稲森佑貴プロによる曲がらないドライバーショットのレッスン。今回のテーマはバックスイングの後編です。飛んで曲らないボールを打つには、バックスイングが大きな役割を果たします。悪い動きを排除し、スイングアークの大きなトップ・オブ・スイングを目指しましょう。進行役を日大ゴルフOGのフリーアナウンサー・萩原菜乃花さんが務めます。

 萩原 前回は左肩を顎の下に入れるイメージでクラブを上げるというお話でしたが、その他に大切なポイントはありますか?

 稲森 これは男性ゴルファーによく見られることですが、腕に力があるために1Wを手だけで上げようとしがちです。その結果、体から近いところにクラブが上がり、スイングアークが小さなスイングになってしまいます。しかも、窮屈なトップ・オブ・スイングになった反動で、ダウンスイングでは両腕を振り下ろすスペースが消え、腕を伸ばすことができません。そのままだとクラブを下ろせないので、無理に腕を伸ばすスペースを作ろうとして、体が伸び上がってしまうのです。当然、アドレスの位置にクラブヘッドが戻らないので曲がりますよね。

 萩原 何かいい対処法はありますか?

 稲森 ドリルとしては、本来はアドレスで左腕よりも右腕が低い位置にくるのが正解ですが、あえて両腕をピンと伸ばして同じ高さになるように構えます。手首のコックを使わずに、その形のままバックスイングを行うと、自動的にクラブが体から遠いところへ上がります。しかも上体がしっかりと捻転されるので、左肩が顎の下にも入ってきます。

 萩原 なるほどいろんなメリットがありますね。

 稲森 ポイントはボールに近づき過ぎないように構えることです。ボールとの距離があまり離れていないと、どうしても手首をヒョイと使って、体から近いところにクラブを上げてしまいますからね。ただ、腕を伸ばし過ぎても体が回りにくくなるので、軽く伸ばした状態で構えましょう。体から遠い位置にクラブを上げ、ダウンスイングでも同じルートでクラブを下ろせば、遠心力を使えます。最近のデカヘッドの1Wはダウンスイングでフェースの向きを操作しにくい分、フェースをスクエアに保てます。しかもヘッドスピードが上がるので飛距離アップも期待できるというわけです。

 萩原 飛んで曲らないドライバーショットを打てるわけですね。ちなみに、遠心力をもっとつけるための練習法を教えて下さい。

 稲森 アベレージゴルファーのスイングを見ると、どうしても下半身の動きが硬いですよね。もっとフットワークを使ってもいいと思います。バックスイングでは左足踵を浮かせて打つ練習もいいでしょうし、両足を足踏みしながらリズムを取る練習もいいでしょう。

 その場合、右足に体重が乗ったら、すぐにクラブを上げていきます。ショットにおいて、下半身は車のエンジンに相当します。エンジンを動かさなければパワーは生まれません。バックスイングでは右足股関節に、ダウンスイング以降は左足股関節の上に上体を乗せるイメージでスイングすると、ウエートシフトもスムーズにでき、下半身にキレのある動きが出てきますよ。

(取材協力=東京・GMG八王子ゴルフ場)


 ◆稲森 佑貴(いなもり・ゆうき) 1994年(平6)10月2日生まれ、鹿児島県出身の26歳。父・兼隆さんの影響で6歳でゴルフを始め、鹿児島城西高2年時の11年プロテストに合格。14年に出場7試合で賞金シードを獲得。18年国内最高峰の日本オープンでツアー初V。20年同大会で2勝目。得意クラブは1W。15年から5年連続でフェアウエーキープ率1位。1メートル69、68キロ。

 ◆萩原 菜乃花(はぎわら・なのか)1996年(平8)3月19日生まれ、神奈川県横浜市出身の24歳。9歳でゴルフを始め日大高、日大時代はゴルフ部に所属。ベストスコアは75。現在はフリーアナウンサーとして、ゴルフ媒体や競輪番組などで活躍中。1メートル57。

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