【関西大学ラグビー開幕企画(1)】天理大・フィフィタはパワー&スピード持つクレバーな怪物留学生

[ 2020年11月3日 05:30 ]

ラグビーを止めるな!

天理大・フィフィタ
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 ムロオ関西大学ラグビーAリーグが7日に開幕する。新型コロナウイルスの影響を受けながらスタートラインに立った8チームの注目選手を、テーマごとに取り上げる。第1回は、2023年W杯フランス大会を狙える逸材を紹介する。

 見るからに力自慢の体格だ。しかし、天理大CTBシオサイア・フィフィタ(4年)の持ち味は、パワーだけではない。10月の交流戦の3試合はパスで周囲を生かす役に徹した。もちろん、仕掛ける時は、スピードと破壊力で確実に前に進み、トライももぎ取った。1メートル87、104キロ。筋肉の塊は、力の使いどころを知るクレバーさがある。

 目指すのは日本代表。今春、スーパーラグビーの日本チーム「サンウルブズ」に招集された。世界を知り、23年W杯の思いが強くなった。「桜のジャージーを背負って、世界と戦いたい」。流ちょうな日本語で宣言した。

 来日して7年。トンガでは、中学でラグビーを始めるまで陸上をしていた。障害種目で全国大会に出場。日本航空石川高にスカウトされて母国を離れた。湯船につかる日本の生活習慣に最初は戸惑いながら、「納豆はすぐ慣れた」という順応力。半年ほどで日本語を苦にしなくなった。

 コロナ禍も高い意識で取り組んだ。春の活動制限中は、スタミナアップのために、体脂肪を6%減の10%に落とした。8月、部で集団感染が起きた。一時、寮を出た際も、「プロになるために脂ものを控えて、野菜やフルーツを食べた」と栄養を考えながら体づくりをした。

 2年の全国大会決勝、明大戦は自身のノックオンで試合が終わった。5点差で敗れた責任を今も感じている。「僕が一番悔しい思いをした」。1年から主力のSH藤原、SO松永のハーフ団も4年になり、初の全国制覇へ機運は高まる。悔しさが残る両手で、日本一をつかむ。

 《立命大・木田 花園歴なし無名の星》
 ダイヤの原石の形が徐々に整ってきた。立命大CTB木田晴斗(3年)は50メートル6秒2の足と1メートル76、89キロの体で、速さと強さを併せ持つ。カウンターも、ゴール前の“最後の一突き”でも頼りになる希少な存在だ。花園出場歴がない大阪・関西大倉高出身の無名の星は、トップリーグが争奪戦を繰り広げる逸材になった。

 「最終的には海外でプレーをしたい。昔からの夢です」

 今春、若手で構成するジュニア・ジャパンに2年連続で選ばれ、飛躍のヒントをつかんだ。「走るフォームをスタッフに教えてもらった」。がに股気味の走りを矯正し、ひざをまっすぐ上げるようした。「スピードも上がって方向転換も楽になった」。国際大会でも突破力を発揮した。

 大学の理解もあって、Aリーグの中で唯一、夏合宿を開催できたのは大きなプラス材料だ。目標は「1回のプレーで流れを変える選手になること」。昨季6位のチームを浮上させるべく、3年生エースが背中で引っ張る。

 ▽今季の関西大学ラグビーAリーグ 11月7日開幕。昨季の順位に応じて8チームが4チームずつの2リーグに分かれ、各リーグで1回総当たりを3試合行う。その後、それぞれの同順位が1試合の順位決定戦をする。3位までが全国大学選手権の出場権を獲得。入れ替え戦はない。

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