NBAは72試合制で12月22日開幕か? 来年1月を前倒し 東京五輪への選手参加も可能

[ 2020年10月24日 08:26 ]

レイカーズの優勝で幕を閉じた今年のNBAファイナル(AP)
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で今季の日程が大幅に変更となったNBAは22日に理事会を開き、2020~21年シーズンの開幕を当初見込まれていた来年1月から12月22日に繰り上げる案を検討。AP通信によれば、レギュラーシーズンは本来の82試合制ではないものの、70~72試合を消化し、王者を決める「ファイナル」を通常通り6月で終了させるという方向性を示した。

 アダム・シルバー・コミッショナー(58)は「来季は観客を動員したうえで来年1月に開催したい」と語り、東京五輪については「米国代表に限ればNBA選手の派遣見送りはやむなし」という見解を示していたが、それが変更された形。 米国では新型コロナウイルスの感染者が再び増加に転じているために無観客での開幕になりそうだが、選手会がこの案を受け入れれば、日本の八村塁(22=ウィザーズ)を含めた各国の代表選手にとっても五輪への扉が開かれることになる。

 ただし「12月22日開幕案」にはまだ多くの問題を残している。今季のNBAは新型コロナウイルスの感染拡大で3月中旬に中断。7月末にフロリダ州オーランドで30チーム中22チームの参加で再開したが、「ファイナル」まで勝ち残ったレイカーズとヒートが最後の試合を終えたのは10月11日。来季が12月22日の開幕になるとキャンプは11月に始まるため、本来3カ月半ほどあるはずの休養期間がわずか7週間にまで短縮されてしまう。しかも再開シーズンに不参加だったニックスなどの8チームには7カ月以上という十分すぎるほどの休養期間があり、チーム状態を平等に維持できるかどうかは論議を呼びそうだ。

 さらに6月開催予定だったドラフトが実施されるのは11月18日。FA契約などの交渉はそれからになるため、各チームとも補強にかけられる時間が極めて短くなるというデメリットが浮上してくる。

 労使協定という課題も残されている。シルバー・コミッショナーは今季のNBAは全体の収益の40%を失ったと説明。従ってサラリーキャップ(チームの年俸上限)などの経済的項目については変更を余儀なくさせられており、この件を含めた選手会との交渉が10月30日に行われる予定。仮に合意に達しても、そこから45日間は労使双方にそれぞれ破棄できる権利があるため、12月中旬までが“グレーゾーン”になる。12月22日開幕はそのリスクと背中合わせの日程となるだけに今後の交渉が注目されるところだ。

 それでも12月22日に開幕すればシーズンを通して“ドル箱”のコンテンツとなるクリスマス・ゲームの提供が可能。1月開幕よりも5億ドル(約525億円)の増収が見込まれるため、選手会にとってもメリットは多い。スポーツ専門局のESPNによれば、シーズン途中にサッカーのカップ戦に相当する「プレー・イン・トーナメント」の開催や、球宴(開催予定地はインディアナポリス)の中止といった案も検討されているもようで、どの案が採用されるのかはまだ流動的だ。

 なお12月22日に70~72試合制で開幕した場合、東京五輪後の2021~22年シーズンについてはこれまで通り「82試合制の10月開幕」という元の形に戻ることが可能になると見られている。

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