日本女子オープン トップ選手を待つ美しき“オリンピックロード” 五輪銀メダリストが手塩にかけて整備

[ 2020年9月24日 08:33 ]

クイーン6番のパー5はフェアウエーバンカーを改造して、より戦略的に
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 女子ゴルフトーナメントの国内最高峰メジャー大会、日本女子オープンは2020年10月1日から4日間、福岡県宮若市のザ・クラシックゴルフ倶楽部で開催される。同コース管理スタッフの平山紘一郎さん(74)は元オリンピアンで、72年ミュンヘン五輪男子レスリング銀メダリスト。平山さんが整備する進入路は通称“オリンピックロード”と呼ばれ女子ゴルファー日本一を懸けて戦うプレーヤーを温かく出迎える。

 コースは本番を控えて準備を整えた。中でも平山さんが担当する進入路の生け垣はひときわ美しく目に映る。「ゴルフに関わる仕事がやりたかったので、毎日が楽しくて仕方ない」と充実感いっぱいで今日も作業に余念がない。

 平山さんは鹿児島市出身の元レスリング選手。鹿児島工では柔道部に所属したが卒業後、自衛隊に入隊しレスリングと出会ってから非凡な才能を発揮。体育学校のエリートコースに進み、1972年ミュンヘンオリンピック男子レスリング・グレコローマン52キロ級で銀メダルを獲得した。1カ月後の鹿児島太陽国体では女手ひとつで平山さんを育てた母・喜子さんをはじめ親戚、友人の前でがい旋優勝。4年後のモントリオール大会でも銅メダルを手にし、その後は日本代表監督、コーチを務めた五輪の“レジェンド”だ。夫人の実家がある宮若市に転居した13年前からコース管理シニアスタッフとして勤務している。

 「今年は私も思い入れの強いオリンピックが東京であり、国体は地元の鹿児島で開かれるはずだった。ところがどちらも延期になって残念に思っていた。だから女子オープンの開催は本当に楽しみ。こうやって準備に加われるのは幸せです」と大会を心待ちにする。応援するのは同じ鹿児島市出身の勝みなみプロ。「優勝争いしてほしいですね」と活躍を祈りながら、平山さんはきょうも“オリンピックロード”を愛用の生け垣バリカンで心を込めて刈り込む。

 会場となるザ・クラシックゴルフ倶楽部は5年がかりでコース改造を行った。19年春にはスコットランド出身のコース設計・監修者のベンジャミン・ウォーレン氏を招き、5ホールを改造した。「クイーン6番はフェアウエーバンカーの配置と形状を変えティーショットの落としどころを難しくしました。8番パー3はクロスバンカーを深くした」と谷水大祐支配人。より戦略的なコースに変わり女子ゴルファー日本一を争う戦いを演出する。

 ○…国内でもっとも権威のある女子メジャー大会にはプロ、アマ合わせて120人が参加する。新型コロナウイルスの影響で賞金は当初から25%減額され、総額1億1250万円、優勝賞金は2250万円。感染防止のため完全無観客での開催となる。

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