田中希実 女子1500メートルで14年ぶり日本新 3000メートルに続く快挙「無我夢中だった」

[ 2020年8月24日 05:30 ]

陸上 セイコー・ゴールデングランプリ ( 2020年8月23日    東京・国立競技場 )

女子1500メートルで日本新を更新した田中(代表撮影)
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 女子1500メートルの田中が、14年ぶりに日本記録を更新した。7月の3000メートル日本新記録に続く快挙に新トラックの女王は「無我夢中だった。レース自体は記憶になく、走り終わったら日本記録が出せた」と望外の結果と笑顔で振り返った。

 圧巻のレースだった。残り1周を告げる鐘が鳴ると、ギアを一気に上げ、追いすがる昨年の日本選手権女王・卜部を文字通り置き去りに。「ラストを上げても最初から上げても、どの展開でも対応できる練習はできていた」と自信をみせた。

 「頭が真っ白になった」というトラブルもあった。世界陸連は7月、800メートル以上のトラック種目では靴底の厚さを2・5センチまでとする新規定を発表。レース前の計測で田中が履こうとしていたものが条件を満たさないと指摘を受け、急きょ別の靴で結果を出した。

 同じ兵庫県出身で憧れの存在という小林祐梨子が、06年に出した日本記録を更新。2秒59短縮し、最後の1周は約63秒で駆けた。7月のホクレン中長距離チャレンジ第2戦は福士加代子(ワコール)の3000メートルの記録を18年ぶりに更新。「ホクレン後に祐梨子さんと話し、改めて記録を出したい気持ちが強くなった。うれしい気持ちを祐梨子さんに伝えたい」と破顔した。

 同大スポーツ健康科学部に通いながら父・健智コーチと二人三脚で練習し、トラックは国内敵なし。狙ったレースで結果を出せたといい、次に狙うのは世界でのメダルだ。「ホクレンの連戦で精神面が強くなってきた」と、大舞台への準備は着々と整いつつある。

 ◆田中 希実(たなか・のぞみ)1999年(平11)9月4日生まれ、兵庫県出身の20歳。西脇工高時代にはアジア選手権3000メートル、U20世界選手権で金メダルを獲得。19年ドーハ世界選手権では5000メートルで日本歴代2位となる15分0秒01をマークした。ランニング教室を主宰する父親の健智さんがコーチ。母親の千洋さんは北海道マラソン2度優勝の経験を持つ。

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