桐生祥秀 男子100メートルで優勝 終盤の課題克服10秒14 新生国立の初王者

[ 2020年8月24日 05:30 ]

陸上 セイコー・ゴールデングランプリ ( 2020年8月23日    東京・国立競技場 )

男子100メートル決勝、優勝を決める桐生(中央右)(撮影・会津 智海)
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 男子100メートルは桐生祥秀(24=日本生命)が10秒14(向かい風0・2メートル)で優勝した。10秒09(追い風0・7メートル)だった予選と同様に、ケンブリッジ飛鳥(27=ナイキ)の追い上げを封じ、終盤に弱いイメージを払しょく。新しい国立競技場で新しい桐生をアピールした。女子1500メートルの田中希実(20=豊田自動織機TC)が4分5秒27で優勝し、14年ぶりに日本記録を更新した。

 ゴール後に、右手人さし指でつくった「1番ポーズ」が誇らしげだ。桐生が10秒14でV。後半も強い新しい走りで、国立競技場最初の男子100メートル優勝者になった。

 「去年取り組んでいた中盤から後半が、今年にかけてちょっとずつできている」

 ヒーローの感想が物語るように、決勝と、10秒09だった予選で、追い上げ型のケンブリッジを抑えたことに価値がある。爆発力がある半面、競り合いになると終盤に失速したのがこれまでのパターン。何度もケンブリッジの猛追の餌食になった。しかし、新国立で見せたのは抜け出して、ライバルに詰めさせない強さ。テーマとする「中間からトップスピードを上げる」走法は、形になっていた。

 緊急事態宣言で思うように練習が積めない間、体重管理に気を配った。甘い物が好きな桐生は、油断すれば太りやすい。「単純なことだけど、普段より気を付けた」。食事は朝に最も多く食べ、昼、夜は量を減らす生活様式にした。「夜に一番食べると、次の日の練習強度によっては体重が増えてしまうので」。毎日、風呂上がりに体重計に乗ったことが、1日の今季初戦で10秒04を出し、さらに今大会も制する好調なシーズンインに結び付いていた。
 改修前の国立には「これといった思い出がない」と言っていたものの、サニブラウンを除く国内トップが集結した試合を制し「勝ちきることができたので、小さい思い出ですけど、思い出になった」と留飲を下げた。

 同じ舞台で開催される来年の東京五輪へも弾みがつく。「ここに人が入っていることを想像すれば楽しいですね」。目立つことが好きな「日本人最初の9秒台」が力を発揮するのは、今大会のような無観客ではなく、満員のスタンドであることは言うまでもない。 

 《桐生新兵器「ピンなしスパイク」さらに進化》桐生のスパイクは、従来の常識を覆す「ピンなし」で知られる。蜂の巣のような突起物で地面をとらえる。アシックスが開発。「ピンの刺さりやすさが違う」という選手の声をヒントに「ピンの抜き刺しに時間やエネルギーのロスが生まれ、その無駄をなくせばより速く走れるのでは」という発想のもと、15年に開発がスタートした。これまで30~40足をテスト。昨年の世界選手権で桐生が使ったことで世界にも広まり、現在、国内外で40人の選手が着用している。

 新国立の高速トラックにも合うスパイクだ。同社は、イタリア「モンド社」からタータンを取り寄せ、「ピンなし」の設計の材料にしただけでなく、更なる進化を目指している。五輪に向けて足元も明るい。

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