池江璃花子、国立から世界へ発信――1年延期は「プラス1」メッセージ全文

[ 2020年7月24日 05:30 ]

東京五輪1年前セレモニーでメッセージを朗読する池江璃花子
Photo By 代表撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大で延期となった東京五輪開幕まで1年となった23日、大会組織委員会は、開会式会場の国立競技場で「一年後へ。一歩進む。~+1メッセージ~TOKYO 2020」と題したセレモニーを開催した。白血病からの復活を期す競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス、日大)が出演し、世界へ向けてメッセージを発信した。

 【メッセージ全文】
池江璃花子です。
今日は、一人のアスリートとして
そして一人の人間として少しお話しさせてください。
本当なら、明日の今頃この国立競技場では
TOKYO 2020の開会式が華やかに行われているはずでした。
私も、この大会に出るのが夢でした。
オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって
特別なものです。
その大きな目標が目の前から、突然消えてしまったことは
アスリートたちにとって
言葉にできないほどの喪失感だったと思います。
私も、白血病という大きな病気をしたから、よく分かります。
思っていた未来が、一夜にして、別世界のように変わる。
それは、とてもキツい経験でした。
そんな中でも、救いになったのはお医者さん、看護師さんなど
たくさんの医療従事者の方に、支えていただいたことです。
身近で見ていていかに大変なお仕事をされているのか、実感しました。
しかも今は、コロナという新たな敵とも闘っている。
本当に感謝しかありません。ありがとうございます。
2020年という、特別な年を経験したことでスポーツが
決してアスリートだけでできるものではない
ということを学びました。
さまざまな人の支えの上に、スポーツは存在する。
本当に、そう思います。
今から、1年後。
オリンピックやパラリンピックができる世界になっていたら
どんなに素敵だろうと思います。
今は、一喜一憂することも多い毎日ですが一日でも早く
平和な日常が戻ってきてほしいと、心から願っています。
スポーツは、人に勇気や、絆をくれるものだと思います。
私も闘病中、仲間のアスリートの頑張りに
たくさんの力をもらいました。今だって、そうです。
練習でみんなに追いつけない。悔しい。
そういう思いも含めて、前に進む力になっています。
TOKYO 2020
今日、ここから始まる1年を単なる1年の延期ではなく、
「プラス1」と考える。
それはとても、未来志向で前向きな考え方だと思いました。
もちろん、世の中がこんな大変な時期に
スポーツの話をすること自体
否定的な声があることもよく分かります。
ただ、一方で思うのは
逆境からはい上がっていく時には
どうしても、希望の力が必要だということです。
希望が、遠くに輝いているからこそ
どんなにつらくても、前を向いて頑張れる。
私の場合、もう一度プールに戻りたい。
その一心でつらい治療を乗り越えることができました。
世界中のアスリートと
そのアスリートから勇気をもらっているすべての人のために。
一年後の今日
この場所で希望の炎が
輝いていてほしいと思います。
競泳選手 池江璃花子

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