池江璃花子、聖火掲げ世界へメッセージ「1年後の今日、この場所で希望の炎が輝いていてほしい」

[ 2020年7月24日 05:30 ]

聖火の入ったランタンを掲げる池江璃花子
Photo By 代表撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大で延期となった東京五輪開幕まで1年となった23日、大会組織委員会は、開会式会場の国立競技場で「一年後へ。一歩進む。~+1メッセージ~TOKYO 2020」と題したセレモニーを開催した。白血病からの復活を期す競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス、日大)が出演し、世界へ向けてメッセージを発信。聖火をともしたランタンを掲げて、来年の五輪への思いを語った。

 スポットライトを浴びた白い衣装の池江がランタンを掲げると、国立競技場の照明がともった。2度目の五輪1年前セレモニーは来年の開会式と同時刻の午後8時にスタート。無観客で、花火など派手な演出もない。メッセージは約4分に及び「今から、1年後。オリンピックやパラリンピックができる世界になっていたら、どんなに素敵だろうと思います。1年後の今日、この場所で希望の炎が、輝いていてほしいと思います」と強調。慎ましい雰囲気が力強い言葉を一層、際立たせた。

 大会組織委は6月初旬にセレモニー実施の検討を始め、急ピッチで準備を進めた。感染対策を徹底し、事前打ち合わせは基本的にリモート。池江の近くに配置するスタッフを極力減らし、フェースシールドと医療用高性能マスクを着用した。オープニング映像は64年東京五輪で採用されたファンファーレで幕開け。クリエーティブ・ディレクターを務めた佐々木宏氏は「心に届くアスリートのメッセージを発信したいと思いました。池江さんのメッセージは若干お手伝いはさせていただきましたが、ほぼご自身の言葉」と説明した。

 白血病からの復活を期す池江は24年パリ五輪を目指している。退場の際は感極まって涙。この日の取材対応はなかったが「オファーを頂いた時は私でいいのかなと思いました。大役に不安もありましたが、こんな機会はもうないかもしれないと思い、凄く楽しみだなという気持ちで引き受けさせていただきました。役目を終えて戻る時、いろんな感情がこみ上げて涙が出てきました」とコメントを出した。五輪への厳しい世論もある中、逆境に立ち向かう象徴的存在として、アスリート代表の役割を全うした。

 ▼池江の闘病経過 19年2月12日にツイッターで白血病を公表。3月6日にツイッターで「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」と心境を告白した。12月17日に退院し、24年パリ五輪を目指す意向を表明。20年3月17日に公式サイトなどで406日ぶりにプールに入る姿を公開。現在はルネサンスの西崎コーチに師事し、10月に予定される日本学生選手権での競技復帰を目指して練習している。

 ◆池江 璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月4日生まれ、東京都江戸川区出身の20歳。自宅の風呂場で水中出産により誕生した。淑徳巣鴨高から19年に日大に進学。本命種目の100メートルバタフライなど長水路(50メートルプール)短水路(25メートルプール)を合わせて計18種目で日本記録を保持。16年リオ五輪に7種目で出場。18年ジャカルタ・アジア大会では6冠を達成した。1メートル71。血液型A。

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