藤田寛之の“急がば回れ!”上達講座【第9回 グリーン周りからのアプローチ】

[ 2020年6月5日 12:00 ]

グリーン周りからのアプローチの方法を解説する藤田寛之プロ
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 今回のテーマはグリーン周りからのアプローチです。藤田寛之プロによれば、1本のクラブで打ち方を変えるよりも、同じ打ち方でクラブを替えたほうが、ミスが少なく、ピンに寄る確率も高いと言います。また、ピッチエンドランをきちんと打てれば、グリーン周りからのアプローチの7~8割はカバーできるそうです。ティーチングプロのジミー常住氏が藤田式アプローチのコツを聞きました。

 常住 藤田プロがピッチエンドランを重視している理由は何ですか?

 藤田 成功率ですね。例えば、SW1本でアプローチを行う場合、振り幅だけでなく、キャリーとスピン量をコントロールしなければいけません。クラブヘッドの入り方がわずかにずれるだけで、同じ振り幅でもキャリーとスピン量は変わります。しかし、ロフトの小さいクラブを使ってのピッチエンドランでは、グリーンにさえボールを乗せてしまえば、あとは転がってピンに寄ってくれるため、ミスの確率が低くなります。

 常住 スピン量を計算する必要がないのは大きいですね。ただ、アベレージゴルファーにはロフトが立ったクラブでのアプローチを行いたくない傾向があります。

 藤田 ボールが飛びすぎる意識があるからでしょう。これは練習量と経験の少なさからくるものです。実際に試してみれば、すぐに簡単だと気がつくと思いますよ。実際、グリーン手前の花道からアプローチする場合、SWとパターではどちらが簡単に寄せられると思いますか?

 常住 間違いなく転がせるパターですね。

 藤田 つまり、ロフトが立っている方が転がしやすく簡単だということなんです。クラブフェースの上でボールが滑る心配もないし、フェースの芯で捉える確率も高い分、確実性があります。

 常住 それでは具体的な打ち方を教えて下さい。

 藤田 まず、ボールを体の中央から右足の前までの範囲内にセットします。両手を左足太ももの前にセットし、ハンドファーストの形をつくりましょう。体重は左足に6割ぐらい乗せておきます。ハンドファーストの形を崩さずにクラブを上げて下ろすだけです。インパクトまではハンドファーストをキープするようにしましょう。この打ち方は、どのクラブでも同じです。注意点は、インパクトでヘッドが先行するハンドレートの形にならないこと。ボールの手前をダフる原因となります。

 常住 クラブ選択はどうなりますか?

 藤田 基本的にボールをグリーン上に落とすことが鉄則です。なぜなら、手前のラフに落とすとどれだけ芝の影響を受けるか分からないからです。ピンとは違った方向に跳ねるかもしれないし、ボールの勢いが衰えるかもしれません。さらに、できるだけグリーンエッジから近いところにボールを落とします。振り幅が小さくなる分、正確なインパクトを迎えられるからです。あとは、ボールからエッジまでの距離に応じてクラブを選択します。

 例えば、ボールがエッジから近ければロフトの小さいクラブを、遠ければロフトの大きいクラブで打ちます。8IからSWの間で選びましょう。

 常住 ピンに寄せるコツはありますか?

 藤田 ボールを打つ前に、落としどころを見ながら素振りをすることです。あとは、ピッタリ寄せようとは考えず、直径2~3メートルの円内に入れることを目標にしましょう。アプローチとパットとの共同作業で寄せワンを目指すと、結果的にピンに寄るようになります。(取材協力=静岡・葛城ゴルフ倶楽部)


 ◇藤田 寛之(ふじた・ひろゆき)1969年(昭44)6月16日生まれの50歳。福岡県出身。15歳でゴルフを始め専修大を経て92年プロ入り。97年サントリーオープンでツアー初V。12年には年間4勝をマークし賞金王に輝く。20代は1勝だったが、30代で5勝、40代で12勝と年齢を重ねるごとにプレーヤーとしての凄みを増している。昨年は優勝こそなかったものの、賞金ランク18位で23年連続賞金シードを獲得。1メートル68、70キロ。

 ◇ジミー・常住=本名・常住治臣(つねずみ・はるおみ)1981年(昭56)12月15日生まれの38歳。東京都出身。5歳でゴルフを始め米マーセッド・カレッジ留学を経て、12年日本プロゴルフ協会(PGA)の指導者ライセンスを取得。1メートル70、70キロ。

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