しぶこ育てた名コーチ・青木翔のらくらく上達講座(7)

[ 2020年2月21日 12:00 ]

飛距離アップのドリルを解説する青木翔コーチ
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 渋野日向子のスイングコーチを務める青木翔氏による特別レッスン。第7回のテーマは、1Wの飛距離アップです。青木コーチによれば、飛距離アップには、平均飛距離を上げるためと、ここ一番での飛ばしを目的とした2つの方法があると言います。今回はどちらも説明しているので、自分が必要とする方を選んで飛距離を伸ばしましょう。

 平均飛距離を伸ばしたいなら、ヘッドスピードを上げることです。ただし、その代償としてミート率が下がるようでは意味がありません。ヘッドスピードを上げるには、重い物を振った後に、軽いものを振るドリルが有効です。

 私がジュニアゴルファーを指導する際、1キロある野球のマスコットバットを10回振らせた後、練習器具で素振り用の軽いものを10回振らせます。その後で、自分の1Wを10回振らせています。この作業を何度も繰り返してもらいます。

 マスコットバットがなければ、男性ならSW、AW、PWの3本をまとめて持って10回振りましょう。グリップは野球握り(ベースボールグリップ)で構いません。軽い練習器具がなければ、1Wを逆さにして10回振って下さい。できれば、通常のグリップの感覚を残したいので、練習器具やクラブヘッドのない状態のシャフトを振ってもらえると助かります。

 最後に自分の1Wを振るのは同じです。ポイントは、重いものを振るときは、1Wと同じスタンス幅でアドレスしたら、手先ではなく、お腹を回すことを意識しながらクラブを上げます。トップ・オブ・スイングまで上げたら、今度はお腹と下半身を使って、クラブを下ろします。体の大きな筋肉を使って、ゆっくり上げてゆっくり下ろすイメージです。クラブが下り始めたら、あとはクラブに任せてフィニッシュまで振り抜きましょう。

 次に、軽いものを振るときは、目いっぱいのスピードで振りますが、手打ちはNGです。先ほどの3本のクラブを振ったときと同じイメージで、体の大きな筋肉を使ってクラブを上げて下ろしましょう。手打ちになると、ヘッドスピードが上がってもミート率が下がるので気をつけます。

 重い物を振る代わりに、柱などを利用してもいいでしょう。クラブを持たずに柱が自分の右斜め前にくるように立ちます。柱がなければ1Wでも代用可能です。アドレスをつくったら、トップ・オブ・スイングの形をつくり、1Wの頭を両手で持ちます。

 柱で練習する場合は、柱を両手で持つようにします。このとき、両腕は伸びているのが正解です。この形からお腹と下半身を切り返す動作を10回繰り返します。その際、腕や肩は脱力した状態で、お腹だけを使いましょう。これ以上ないぐらい上半身と下半身の捻転差をつくります。切り返しの動作を10回目に行ったときは、そのままの形を数秒間キープして下さい。

 結果、切り返しでの捻転差が大きくなり、インパクトではしっかりとボールをつかまえることができるので、平均飛距離が上がります。

 ここ一番で飛距離を伸ばしたいときは、単純に打ち方を通常と変えましょう。通常よりもアドレスの幅を少しだけ広くしたら、体重移動を明確に行いたいので、片足で立つぐらいに体重を右足から左足の順に乗せていきます。

 この動きを何回か行い、タイミングが合ったところで右足に体重を乗せると同時にバックスイングを行ったら、左足を下ろしてから、ダウンスイングを始めましょう。その際、フィニッシュがとれないぐらい、しっかりと振り抜くのがポイントです。(取材協力=兵庫・パインレークゴルフクラブ)

 ◆青木 翔(あおき・しょう) 1983年(昭58)3月28日生まれ、福岡県出身の36歳。福岡大卒。11年からジュニアの指導を行い、12年に「AOKI SHO GOLF ACADEMY」を設立。USGTF公認ティーチングプロ資格保持。ジュニアやプロ育成に注力し、18年から渋野日向子とコーチ契約を結ぶ。家族は夫人と長男。1メートル81、77キロ。

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