豪栄道「大和魂」貫けた! 引退会見で晴れやか 大関陥落決まった12日目に「潔く」決断

[ 2020年1月30日 05:30 ]

会見で笑顔を見せる元豪栄道の武隈親方(撮影・西海健太郎)
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 大相撲の元大関・豪栄道の武隈親方(33)が29日、東京都墨田区の両国国技館で引退会見を開き、「大和魂」を貫いた土俵生活を振り返った。現役時代の思い出には全勝優勝した16年秋場所と、賜杯獲得を決めた14日目の玉鷲戦を挙げた。今後は境川部屋で親方として後進の指導にあたる。引退相撲は来年1月の初場所後に予定されている。

 これが重圧から解放された男の姿だった。会見後、報道陣に囲まれた武隈親方が母・真弓さんに電話で引退を伝えたときのやりとりを明かした。「引退するって言ったら“引退するの?豆まきは行くの?”と聞かれて。行くと言ったらそれで話が終わった。引退より豆まきかって」。そう話す顔に笑みが広がる。現役時代には見ることができなかった柔和な表情だった。

 カド番で臨んだ初場所。12日目に負け越しが決まり大関陥落が決まった夜、師匠の境川親方(元小結・両国)と話し合い引退を決意した。「数年前から大関から落ちたら引退しようと心に決めてやっていた。迷いはなかった」。14年7月の大関昇進伝達式の口上で「大和魂を貫いてまいります」と述べた。それは「我慢強く、潔くという意味」。引き際も自らの哲学を貫いた。

 次の春場所は地元・大阪が舞台。最低10勝を挙げれば、大関に復帰できる。周囲からは翻意を促された。それでも「待っている大阪の人には申し訳ないが、気力のない相撲を取るわけにはいかない」と信念を曲げなかった。大関昇進から約6年。気を張って看板力士の座を守り続けた。「自分の中では、やり通せた」と胸を張った。

 弱みも、痛みも、口にしないのが自らの力士像。同席した師匠の境川親方は「やせ我慢の美学を大事にしてきた男。弱音を決して吐かない、男のど根性が誰よりあった」とねぎらった。

 今後は弟子の育成に心血を注ぐ。「自分は横綱に上がれなかったので、横綱を育てたい」。武隈親方はこれからも武骨に相撲道と向き合う。

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