羽生5度目Vへ“逆算” 五輪王者の方程式 難度下げても逃げ切る

[ 2019年12月22日 05:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権第3日 ( 2019年12月21日    東京・国立代々木競技場 )

笑顔で練習する羽生(撮影・小海途 良幹)
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 22日の男子フリーに向けた公式練習が行われ、ショートプログラム(SP)首位で5度目の優勝を狙う羽生結弦(25=ANA)が汗を流した。曲かけでは3連続ジャンプを今季初戦と同じ構成に戻し、フリーでも出来栄え点を重視する可能性が高まった。

 頂点のみを目指す羽生が選んだ道は“省エネ”だった。公式練習の35分間で挑んだジャンプは17回。ループ、サルコー、トーループの4回転3種を中心に感触を確かめた。前日のSPでは国際連盟非公認ながら自身の世界最高記録を0・19点上回る110・72点をマーク。演技後に「とりあえず明日があるので、しっかり調整の日に充てる」と語っていた通り、慎重に滑り込んだ。

 直近のGPファイナルでも今大会と同じくSP、フリーを中1日でつないだ。だが、中日の公式練習で跳んだジャンプは35分で25本。コーチ不在のため自らの決断で未完成の4回転半(クワッドアクセル)に挑むなど、今回とは対照的だった。今大会でもSP前日の19日の公式練習(35分)では25本、SP当日の公式練習(30分)で18本。控えめに跳んだ17本のジャンプは、百戦錬磨の王者がはじき出した黄金比だ。

 中1週間の3連戦。疲労が抜けきらない中でも、SPでは「GOEをしっかり稼ぐ」というテーマが奏功した。この日の曲かけ練習で挑んだ後半の3連続ジャンプは4回転トーループ―1回転オイラー―3回転サルコー。3本目はスケートカナダ、ファイナルで成功させたフリップではなく、難度を落としたサルコーに変えた。

 前日は「その時になってどれだけ調子が上がってくるかを確認しながらフリーについて考えていけたら」と語った。今季初戦となった9月のオータム・クラシックと同じ構成に戻し、出来栄え点を稼ぐオプションも備えた。

 練習中にはジャージーをはためかせながらトリプルアクセルを決めて会場を沸かし、多くの関係者に見守られながら会場を去る際には「すみません、なんか花道みたいになっちゃって」と苦笑い。4年ぶりの全日本の雰囲気を楽しむが、ここ一番でのピーキングが五輪連覇の男の武器でもある。22日午後9時3分。完璧なフリー「Origin」で、2019年を締めくくる。

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