五輪男子マラソン前倒しも…東京での閉会式考慮し男女同日開催検討

[ 2019年11月8日 05:30 ]

道庁を訪れ鈴木直道北海道知事(右)と面談後、報道陣の要望で握手を交わす組織委の森喜朗会長(撮影・高橋茂夫)
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 札幌開催が決まった2020年東京五輪のマラソンについて大会組織委員会の森喜朗会長は7日、大会最終日の8月9日に実施予定だった男子の日程を前倒しすると明らかにした。男子マラソンは五輪の花形。1984年ロサンゼルス五輪以降、閉会式当日の実施が通例で、現実となれば異例のケースとなる。ただ関係機関には慎重論も出ている。

 森氏は札幌市で鈴木直道北海道知事、秋元克広市長とそれぞれ会談。マラソン、競歩の札幌開催に協力を求める中で「(男子マラソンは)おそらく前の方に回るということになると思う」と述べた。最終日の場合、レース後に東京での閉会式に参加できるよう選手を移動させる必要があるが、ドーピング検査の時間の確保などで支障が生じるという。

 森氏は日程について「明日(8日)にでも決めていただければと思う」と述べた。現計画では女子は8月2日開催。国際陸上競技連盟は男女同日開催案も検討している。

 日程とともに問題なのが経費。森氏は鈴木知事との話し合いの中で「経費は北海道に迷惑を掛けないようにしたい」と述べた。東京都が負担しない以上これで事実上、新たに発生する経費の負担元は組織委に一本化。今後は大規模な経費削減策を推し進めることになる。

 新たな経費は約340億円との試算もある。大会予算とは別に、予期せぬ事態に備えて使用できる予備費は1000億~3000億円と設定されているが、組織委は財源がないためこの予備費が捻出できる状況にない。そのため組織委の予算内に計上している調整費350億円を充てるしかないのが実情。本来の用途とは違うため持ち出しは最小限に抑えたいのが本音だ。

 マラソンを男女同日開催とすれば大幅な経費削減につながり、コースも北海道マラソンと同じ大通公園発着とすれば、周辺にスペースがないため観客席も増設しないで済む。今後はボランティアの現地調達も視野に輸送費、宿泊費も削減していく方針だ。

 札幌市はこの日、初雪を観測。早ければ8日にも日程が決まる方向だが、コース測定など本格的な積雪を前に済ませなければならないことは多い。

 《国際陸連案なら7月下旬実施》国際陸連は日本陸連に先月30日、競歩を含めた計5種目を3日間で実施する2つの案を提示。1つは8月7日に男女20キロ競歩、8日に男子50キロ競歩。マラソンを9日に行う。もう1つは5種目を7月27~29日か28~30日に実施するもの。国際陸連は各国・地域の連盟に、どちらの案を望むかを同31日中に回答するよう求めた。日本陸連は選択しなかった。2つはあくまで国際陸連の提案だが「男子マラソン前倒し」となれば、自動的に“7月下旬案”ということになる。

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2019年11月8日のニュース