マラソン&競歩 札幌での開催検討開始 IOCが発表 陸上関係者困惑「今更それは…」

[ 2019年10月17日 05:30 ]

9月のMGCは気温30度に近い中で開催(右から)中村匠吾、大迫傑、服部勇馬
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 国際オリンピック委員会(IOC)は16日、懸念が高まっている東京五輪の暑さ対策として、陸上のマラソンと競歩を札幌開催に変更する代替案の検討に入ったと発表した。IOCは大会組織委員会などと協議を進める方針で、五輪の準備状況を監督する調整委員会が30日から都内で開く会合でも話し合う。一方で、五輪開幕まで1年を切ってからの異例の事態に、陸上関係者などから困惑の声が漏れた。

 現代スポーツのテーマ「アスリートファースト」が、衝撃的な形で実現されるかもしれない。IOCのトーマス・バッハ会長は「選手の健康は常に懸案事項の中心」とした上で、「マラソンと競歩の変更案は、懸念を深刻に受け止めている証左。選手にベストを尽くせる条件を保証する方策だ」とし、8月の平均気温が、東京より5~6度低い札幌での実施検討の理由を説明した。

 日本は先月15日、五輪とほぼ同じコースで行われたマラソン男女代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で男女各2人が五輪代表に内定したばかり。本番に向けて本格的な強化に乗り出そうとしていた矢先のIOCの発表だった。日本陸連の河野匡長距離・マラソンディレクターは「(札幌開催案は)今まで一度も聞いたことがない。驚いたというより本当にできるのかなという感じ」と困惑を隠さない。一方で「選考を変える必要はない」と代表再考の可能性は否定した。

 選手を含めた現場にも驚きと戸惑いが広がった。女子で代表に内定した前田穂南を指導する天満屋の武冨豊監督は「何とも言えない。東京(での実施)に向けて準備してきた。今更それはないんじゃないか」と複雑な心境を口にする。男子の中村匠吾が所属する富士通の福嶋正監督も「困惑している」と漏らした。本番想定のレースで優勝したことはアドバンテージになると捉えていたが「この先どうなるか、様子をみるしかない」とした。

 開幕まで300日を切っての開催地変更は、一筋縄ではいかないことが予想される。公道を使う競技は、地元警察や商店街などとさまざまな調整が必要になる。また、選手らの宿泊先の確保や警備、ボランティアなどの問題も生じ「経費は確実に増える」(大会関係者)との声も出ている。

 見直しとなれば、東京都や開催を心待ちにする現コースの沿道の区関係者らに、落胆や反発が広がる可能性も否定できない。組織委関係者は「IOC主導」とした上で「ハードルがありすぎる」と困惑気味に語った。

 ≪チケットどうなる?≫男女のマラソンはすでにチケット発売済み。男子マラソンが行われる8月9日はマラソンのみだが、女子が行われる8月2日は午前中に男子400メートル予選や女子ハンマー投げ予選など他の種目も行われるため、払い戻しなどの取り扱いが複雑になりそうだ。競歩は男子50キロ、同20キロ、女子20キロはいずれも皇居外苑で行われるため、チケット販売はなかった。

 ◆東京五輪の暑さ対策
 ☆男女マラソンは午前6時、男子50キロ競歩は午前5時半にスタート時刻を変更
 ☆日よけテントや大型冷風機、霧状の水をまくミストシャワー設置
 ☆マラソンコースで路面温度の上昇を抑える「遮熱性舗装」の導入
 ☆観客への扇子や冷却保冷剤の配布
 ☆競技を中断する基準、水分補給に関するルール作りなどを各国際競技連盟と検討
 ☆携帯電話のアプリを活用して熱中症に関する情報発信
 ☆氷入りの水風呂を準備。人工雪もテスト
 ☆競技会場へのペットボトル飲料や日傘などの持ち込みを条件付きで認めることを検討

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