選手の安全考えればやむをえないが…東京五輪マラソン&競歩 開催地変更検討 影響大きい

[ 2019年10月17日 09:00 ]

IOCのホームページにアップされた東京五輪の男女マラソンと競歩のコースを札幌に移すことを提案するメッセージ
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 【記者の目】今回の変更案の是非を判断するのは非常に難しい。選手の安全を考えれば酷暑の東京より少しでも気温の低い場所に変更するのはやむをえない。その半面、運営面から見れば本番まで1年を切ったこの時期の変更はただ混乱を招くだけで、暑さに慣れるために時間をかけて計画的に準備してきた選手たちへの影響も大きい。

 真夏の東京でのマラソンは過去に一度だけ、91年8~9月の世界陸上で実施されたことがある。当時のスタート時(朝6時)の気温は26度、湿度は73%。完走率は男子が60%、女子は63%で、ドーハの世界選手権よりも特に条件が悪かったわけではない。そもそも別の都市で実施すべきという意見は東京招致が決まった時からあったのに、準備が最終段階にさしかかった今になって変更というのはあまりにも各方面への影響が大きすぎる。

 近年の異常気象は札幌も例外ではなく、確実に夏の気温は上がっている。残された時間は少ないが、拙速に結論を出すことなく、綿密な議論の上で変更か否かを決めるよう強く望みたい。(編集委員・藤山健二)

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2019年10月17日のニュース