父の死から11年 レナードが2度目のMVP 苦難を乗り越えての頂点 記録ずくめの優勝

[ 2019年6月14日 15:14 ]

シャンパンを飲み干すラプターズのレナード(AP)
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 NBAファイナルで5年ぶり2度目のMVPとなったラプターズのカワイ・レナード(27)は、ゴーグルを装着してアリーナ内でのシャンパン・ファイトに参加。同僚のカイル・ラウリー(33)やサージ・イバカ(29)と“泡”をかけあって喜びを爆発させていた。

 「このためにプレーしているし、このために一生懸命に練習しているんだ」と優勝が決まると両手を広げて珍しく絶叫。いつもは言葉少なでメディア泣かせの部分もあるが、この日ばかりは思う存分はじけていた。

 スパーズ時代の2014年以来のファイナルMVP。昨季は足の故障で9試合にしか出場できず、デマー・デローザン(29)とのトレードで移籍してきた新天地でもシーズン序盤は“徐行運転”が続き、レギュラーシーズンでは休養を含めて22試合を欠場したことを考えると、見違えるようなポストシーズンとなった。

 ファイナルの6試合では平均28・5得点。ポストシーズン全体(計24試合)では732得点(平均30・5得点)を稼いだが、これはマイケル・ジョーダン(ブルズ=759得点)、レブロン・ジェームズ(キャバリアーズ=748得点)に続く歴代3位の記録となった。30得点以上は14回。これもジョーダン(92年)とアキーム・オラジュワン(ロケッツ=1995年)の16回と、コービー・ブライアント(レイカーズ=2009年)の15回に次ぐ歴代4位の記録で、NBAの看板スターたちと肩を並べる偉業となった。

 就任初年度でチームを初優勝に導いた(史上8人目)ニック・ナース監督(51)も「彼のプレーをこんな近くで見ることができるのは自分の特権。たまらないよ」とレナードのプレーを称賛。ともにチームを支えてきたガードのカイル・ラウリー(33)も「彼は本当によく頑張った。バスケットボールを愛しているのがよくわかった」とその記録的な活躍に最大級の評価を与えていた。

 レナードは故障だけでなく、人生でも大きな試練を乗り越えてきている。4人きょうだいの末っ子としてロサンゼルスで生まれたが、2008年1月18日、父マークさんが銃で撃たれて帰らぬ人となった。父を銃弾で失ったプロフィールはウォリアーズのスティーブ・カー監督(53)と同じ。当時17歳だったレナード少年はその翌日、自ら志願して高校チームの試合に出場し、17得点をマークして試合を終えると号泣したと伝えられている。犯人は逃走。事件は未解決のままで、以後、レナードはプライベートな部分に関わることは口にしなくなった。恋人のキシェール・シップリーさんとの間にはすでに2人の子どもを設けているが、会見の席で子煩悩な部分を見せることはない。NBAの多くの選手がインスタグラムやツイッターなどのソーシャルネットワークで情報を発信しているが、レナードは新たな時代の情報ツールにも距離を置いたままだ。

 それでも「父の事件については多くのことを考えた。でももう終わったこと。年をとるにつれて考えなくてもいいようになった。人生とバスケットボールは違うものだが、楽しめばいいんだ。だからプレーすることを楽しんだよ。それが人生にとって最高の時間になるからね」とトラウマに負けることなく堂々の勝利者となった。

 ラプターズは今ポストシーズン初戦となった4月13日のマジック戦では101―104で敗れたがそこから奮起。すっかり“大人”となったレナードが沈みかけたチームを立て直し、トロントに初の優勝をもたらすことになった。初戦で黒星を喫したチームがリーグ制覇を達成したのは史上8回目。初めて米国の国境を越えた優勝トロフィーには、目には見えない重みのある記録と記憶が刻まれていた。

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