体操女子のエース・村上茉愛 棄権で異例の救済プラン浮上

[ 2019年5月19日 05:30 ]

体操 NHK杯第1日 ( 2019年5月18日    武蔵野の森総合スポーツプラザ )

試合前、NHK杯を棄権し、寺本(右)と抱き合う村上は涙(撮影・吉田 剛)
Photo By スポニチ

 前代未聞のプランが浮上した。女子で18年世界選手権個人総合銀メダリストの村上茉愛(22=日体ク)が、「両仙腸関節症」で棄権。20年東京五輪の団体予選を兼ねる世界選手権(10月、ドイツ)の代表入りが消滅したが、日本協会の田中光・女子強化本部長(46)はエース救済のため選考基準の変更へ動く可能性を示した。寺本明日香(23=ミキハウス)が4月の全日本選手権の持ち点と合わせ、合計166・163点で優勝した。

 女子のエースが棄権するという不測の事態に、強化サイドがパニックに陥った。世界選手権の女子代表はNHK杯の上位4人がまず決定し、残り1人は全日本種目別選手権(6月22、23日、群馬)の結果も踏まえてNHK杯で12位以内に入った選手から選ぶ。村上は選考基準を満たせずに代表入りは消滅したが、日本協会の田中本部長はエースの救済プランを明かした。

 世界選手権は20年東京五輪の団体予選を兼ね、既に出場権を得ている米国、ロシア、中国を除く上位9チームが五輪切符を獲得できる。村上不在で「厳しい現状。村上選手のインパクトは大きくて、チーム全体のカラーが変わってくる」と田中本部長。「平等性、透明性を考えるとこれ(現選考基準)で進めたい」とした上で、基準変更について「今後、女子強化本部会で協議し、理事会(6月8日)に提案するかもしれない」と話した。

 現行のルールでは補欠で同行することも不可能で、残り1人の選考や補欠について「NHK杯12位以内」の条件を外すなど数パターンを検討する。団体には開催国枠がないため、田中本部長は「何とか枠を獲りたいので…」と険しい表情。試合直前に号泣しながら棄権を決断した村上は、「自分が貢献できないのが悔しい。団体の枠を獲ってきてもらうことを願うしかできない」と話した。

 村上は代表に不可欠だが、選考基準を途中で変更すれば反発を招くリスクは高い。日本協会は昨年、宮川紗江(19=高須クリニック)と当時の女子強化本部長だった塚原千恵子氏(71)、夫の光男副会長(71)の間でのパワハラ騒動に揺れた。前代未聞の救済案は、新たな火種となる可能性がある。(杉本 亮輔)

続きを表示

2019年5月19日のニュース